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プロ棋士になるため、27歳で無職に…小山怜央が振り返る「3回目の受験」「不安の第一はお金のことだった」 

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小山怜央

小山怜央Reo Koyama

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/12/24 06:06

プロ棋士になるため、27歳で無職に…小山怜央が振り返る「3回目の受験」「不安の第一はお金のことだった」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今年4月にプロ棋士となった小山怜央。本人が棋士編入試験資格を得るまでを振り返る

 このとき私は20代後半。奨励会の方はまだ10代の方が多く、私はダントツ年長者であることが多かった。でも私がいちばん教わっていたような気がしている。改めてここで感謝を伝えておきたい。

オンライン指導の仕事で収入を得る

 会社を辞めたことで生じる不安の第一は、やはりお金のことだ。

 私はいつかこういうこともあるだろうと、社会人生活の間、貯金をしていた。それでも不安というのは生じるものだが、大きな助けになったのがオンライン指導の仕事だった。

 加古川青流戦のアマチュア予選の会場で、たまたま元奨励会三段の甲斐日向さんとお話する機会があり、その時に指導に興味がないかと聞かれた。それから話が進み、2022年の3月から甲斐日向将棋教室(現在はKAI将棋教室)の講師としてオンライン指導を始めることになった。

 指導は1時間から2時間ほど。やってみると楽しいという気持ちと大変という気持ちが半々だった。とくに棋力に制限を設けていなかったので、上級者よりも初級者、中級者の方に強くなってもらうような指導のほうが難しかった。

 ただ、こうやって将棋でお金を稼げたことで、精神的にとても楽になった。

必要だった、あと4勝

 両親にはお金など困ったことがあればなんでも相談するようにと言われていたが、特に頼ったりはしなかった。ただ、両親としてはそれが逆に心配ではあったようだ。両親にはずっと心配をかけていたのだろうが、あまりそれを表に出さず、ずっと応援してくれた。

 そして月日は流れ、運命の2022年9月13日を迎えることになる。

【次ページ】 相手は同じ東北出身の中川大輔八段

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