しっかりとこちらの目を見据えて、話の語尾が鮮明な語り口。彼の心の奥底にある強烈な＜意志＞が、伝わってくるようだ。

　高橋純平投手のピッチング練習を受けたのは、もうドラフト直前になっていた秋の終わり。お願いだけはしていたのだが、故障明けだしもう無理だろうとあきらめていた頃、県岐阜商さんから連絡をいただいた。

「ようやく全力投球できるようになりました。今からでもよろしければ……」

「ありがとうございます！ ぜひお願いします！」と、飛んで行った。

　ブルペンで向き合った時の、シュッとした立ち姿の「八頭身」がかっこよかった。なだらかな肩の線。しなやかな長い腕。ピッチャーだなぁと思った。

圧巻だった「145km前後のツーシーム」

　立ち投げから、いきなり速かった。立ち投げの1球目から、構えたミットが遅れる。立ち投げなんて普通はもうちょっと加減するもんだろ。

県岐商高時代の高橋 ©JIJI PRESS

　3球、4球。あっという間に来る。速い、強い。

　いや、速い球しか投げられない。強いボールにしかならない。軽く投げようとしても、そうはいかないタイプかも。パワーピッチャー系には、こういう投げ方の投手が少なくない。

　例えて言えば、「空手チョップ」。

　右手を平手にして、タテにシャッと、瓦割りのような腕の振り。

　右足にゆったりと乗せて、そこから素早くシャッと右腕を振り下ろすから、受けるこっちには難しいタイミング。もちろん、打者にとっても同じことだ。

　スッと左膝が上がって、胸ほどに高さをとっても、上体が前かがみにならない。右足で立った姿が美しい。

　ミットが遅れる。あっという＜間＞だ。

　ビュンと飛んできて、低めにスッと沈んだ。構えた左膝の位置で捕った瞬間、ミットの中で親指がねじ曲がった。今で言う「ツーシーム」ってヤツ……沈む高速シュートだ。

　おそらく、145キロ前後。このスピードで動かれたら、そりゃたまらない。

　速いし、怖いし、そして、痛い。

　高橋純平のストレートに、なかなか慣れない。

「すごく動きますね、まっすぐが」と訊いたら、野球部長さんが

「全部動きますよ。いい時ほど、純平は」

　そう教えてくださった。

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