濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
武尊「天心選手に負けたのは…」ベトナムに学校建設、自炊弁当…THE MATCH“あの敗戦”後の日々「1日でも早くロッタンとやりたかった」
posted2023/12/24 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
昨年6月19日、武尊は東京ドームでの『THE MATCH 2022』で那須川天心と対戦し、判定負けを喫した。その後、那須川は予定通りボクシングに転向し2連勝。まだ“新人”ではあるのだが、試合は常に大きな注目を浴びている。
一方、敗れた武尊はどうしていたか。休養し、試合をして、新たな団体と契約を結んだ。それは単なる“戦線復帰”ではなかった。彼は活動の中で自分と向き合い、落とし前をつけようとしてきたのではないか。
1試合の最低保証額は「1億円」
那須川戦後に記者会見を行なった武尊は、無期限休養に入ることを発表した。手術が必要なケガがあった。うつ病とパニック障害で精神科に通院してきたことも明かしている。
だが、手術を終えるとこちらの想像以上に早く活動再開。海外でも練習をしている。
「僕の場合は格闘技をやるのが一番のリフレッシュなんです。ヒザの手術をして練習できない時期は気持ちが落ちたし、練習を再開したら気持ちの調子もよくなって。格闘技を始めた頃ってなんのプレッシャーもなくて、ただ好きだから毎日練習してた。そういう気持ちに戻るのが大事でしたね」
今年6月、K-1との契約を終えた武尊の1年ぶりの復帰戦はフランスで行なわれた。ベイリー・サグデンをKOしISKA世界王座を獲得。この一戦から、武尊はABEMAと契約を結んでいる。ABEMAのPPV(有料中継番組)専属ファイターとなったのだ。1試合の最低保証額は1億円である。それが、K-1や『THE MATCH2022』を中継してきたABEMAからの評価だった。
7代目タイガーマスク襲名「ベトナムに学校を建てた」
今年は復帰戦だけでなく「7代目タイガーマスク」を襲名してもいる。初代タイガーマスク・佐山サトル公認だ。といってもプロレスデビューではなく、社会貢献活動をしていく際の“象徴”としての襲名。特に子供たちへの支援は伊達直人ばりというわけだ。
「子供たちの笑顔はモチベーションの一つになってますね。フランスの試合のファイトマネーで、ベトナムに学校を建てたんです。次の試合でもその予定です。こういうことは格闘家として名前がある時にやったほうがいいと思ってます。それだけ活動に広がりが出ると思うので」
子供たちとは格闘技体験での触れ合いも。武尊には「子供たちに格闘技を見て、触れてほしい」という気持ちが強い。
「僕自身、格闘技にパワーをもらって、救われた人間なので。格闘技を見たりやったりすることで、子供たちがいろんなことを頑張れるようになったらいいなって」