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「目がふさがった状態で…壮絶な打ち合い」日本人が思わず感情移入した…八重樫東と井岡一翔“あの激闘”の真実「負けたのに周囲の反応が」
posted2023/12/24 11:04
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph by
AFLO
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まだWBAとWBCの2団体しかない時代。八重樫東がミニマム級のWBA王者となり、対抗団体のWBC王座には井岡一翔が君臨していた。しかし、二人の間には大きな障壁があった。八重樫の試合はテレビ東京で放映され、井岡はTBS。拠点も関東と関西。しかも井岡の減量が苦しく、階級を上げるプランがあり、時間的な猶予は限られている。
井岡一翔との統一戦はこうして決まった
だが、井岡陣営との交渉はわずか30分程度で終わり、すぐに対戦が決まったという。
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「会長が『こいつとやるぞ』と言ったら、僕はいつも『ノー』とは言わないんで。そのときも『いいだろう、八重樫』『はい、大丈夫です』という感じでしたね」
テレビはTBSが中継し、会場は大阪。八重樫にとって、完全アウェーのリングになった。
当時23歳の井岡は9戦全勝6KO。29歳の八重樫はデビューから6年半をかけてようやく手にしたベルトの初防衛戦だった。下馬評は7-3、8-2で井岡優位。ある専門誌の勝敗予想では全員が井岡勝利とするほどだった。
「井岡君は無敗、僕は迷い道をしながらここまで来た。プライドもないんで。同じ世界王者でも、向こうがヒーローで格上。勝ったらデカいなというだけでしたね。アウェーはあまりなかったので、大阪ってどんな雰囲気だろう、怖いのかな、と乗り込むくらいのつもりでいました。それはそれで面白かったですけどね」
壮絶な打ち合い「視界が狭くなっていき」
2012年6月20日、大阪府立体育会館。史上初となる他団体の日本人王者同士による統一戦だ。ゴングが鳴った。八重樫のコンディションは良好で、気持ちも入っていた。
序盤、井岡の鋭い左ジャブ、右ストレートを浴び、左目が腫れてきた。
「ジーンとしてきて、視界がどんどん狭くなっていく。あんなに腫れたことはなかったので、こんなになっちゃうんだ……と思いました」
4回終了時の公開採点はジャッジ3者ともに38-38のイーブン。接戦だった。5回、左目が大きく腫れ上がり、ドクターチェックが入ると、セコンドの大橋秀行が言った。