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「阪神に指名されたのは運命かもしれない」人生が激変…大竹耕太郎(28歳)が“現役ドラフト成功例”になった納得の理由〈オフは結婚&ハワイ旅行〉 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph bySankei Shimbun

posted2023/12/19 11:02

「阪神に指名されたのは運命かもしれない」人生が激変…大竹耕太郎(28歳)が“現役ドラフト成功例”になった納得の理由〈オフは結婚&ハワイ旅行〉<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

このオフ、結婚も発表した阪神・大竹耕太郎(28歳)。「街で声をかけられることが増えた」と、大車輪の活躍を振り返った

 初めてのセ・リーグで活躍できた理由はいろいろある。阪神はソフトバンクのように剛腕揃いの球団ではなく、コントロールも重視する。スピードを追い求めなくてよくなったのは、性に合っていた。

 もっとも大きかったのは、発想を転換できる頭の柔らかさを備えていたことだろう。

「砂漠の中に生えている草」

 大竹の豊かな感性をよく表す言葉である。5月13日のDeNA戦(甲子園)は雨が降っており、ふと思いつき、こう表現した。

「もうひとりの自分がね。雨が降ったことで『うおー、やった!』ってどういう感覚なのかなって考えてみたんです」

 その試合は6回1失点で勝利投手になった。事象を分かりやすいたとえに置き換える。後ろ向きになりそうな心を上向かせる、大竹なりの工夫である。興味深い思考なので、インタビューをそのまま紹介したい。

「僕はいつも3人」「天使と悪魔のような」

――サッカーの本田圭佑選手が「リトルホンダ」と言った感じですか。もうひとりの自分を作って客観的に見るというような。

「そうですね。僕はいつも3人です。三角形になるんです」

――ええと、3人の大竹さんはどういう人間関係なんでしょうか。

「なんていうのかな。1人は悪魔のようなイメージです。漫画『DEATH NOTE』の黒い死神のようなね。もう1人はめっちゃポジティブな天使のようなヤツです。この2人のやり取りを見ている自分がいるんです。例えば、日本シリーズの第5戦に登板する前は、こんな感じでした。2年前にオリックスに打たれていたので悪魔が『こうやってやられたよね』って映像を見せてくるような感覚です。そいつに対して、ポジティブな天使が『けど、これで抑えて勝ったら、日本一の立役者じゃん』って言ってくれる。このやり取りを3人目が見ている感じです。シーズンの開幕前とか、悪魔がフラッシュバックで何度も出てきました。それを『分かった、分かった』となるのか、主観で『ヤバイ……』となるのかの差です」

――「分かった、分かった」と手なずけるのが一番いい感じなのでしょうか。

「悪魔がまた見せてきたわって客観的にとらえるというか、開幕前から三角形を作る練習をしたら悪魔が出てこなくなるんです」

 大竹は「自分」と「天使」と「悪魔」の三者三様の目線で物事を見つめた。すると、マイナス思考を排除できるようになり、マウンドでも、自分の姿を一歩引いて見ることもできるようになったのだという。

【次ページ】 岡田流の激励「明日は大竹だから接戦」

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