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「大谷は本物です」10年前の大谷翔平18歳を“首脳と先輩”はどう感じた? 「行ったと思ったのになんで…」栗山監督ビックリの“弾丸打球”とは
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/12/14 17:00
2013年、プロ野球でのデビュー戦を迎える直前の大谷翔平
そんな2人は大谷のルーキーイヤーである2013年3月30日に、さっそく初勝負をしている。試合前は“先輩・後輩”の間柄ということで……大谷は菊池のもとに向かうと、礼儀正しくお辞儀。それに対して菊池も笑顔を浮かべて握手をするなど、今も大谷が見せるパーソナリティーの一端が現れていた。
前述した通り、大谷は開幕戦でマルチ安打をマークしている。それを受けての“花巻東の怪物対決”と、否が応でも注目は集まった。ただ、その中で経験値の高い捕手・炭谷銀仁朗が「雄星に緊張するなと言うのは無理なので、いろんな球種を使って、最後はボールになるスライダーで組み立てた」と、剛速球とともに菊池の決め球であるスライダーを巧みに使って、大谷を2三振に仕留めている。
なお今季の大谷のア・リーグ本塁打王獲得について、菊池も〈いつか必ず取ると思っていましたから〉などと、その偉業を称賛している。10年前に語った「本物です」という表現から、変わらない敬意を感じる。
栗山監督が「なんで走ってるんだろう?」と思った一打
<名言3>
行ったと思ってベンチの前まで出たのに、「なんで(全力で)走ってるんだろう?」って。
(栗山英樹/Number 2013年6月12日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/476520
◇解説◇
大谷がホームランを放ったニュースとともに近年報道されるのは、その打球スピードの凄まじさである。
各種データが細分化されて計測されるメジャーリーグの世界では、打撃結果ごとの打球速度や角度、飛距離が出るのはおなじみとなったが……MLBの公式データサイト「Baseball Savant」によると、2023年の平均打球速度は「94.4マイル=約151.9キロ」をマークしていたという。
なおMLB全体での平均打球速度は「88.4マイル=約142.3キロ」。データも大谷のとびぬけたパワーを証明している。
年々たくましさを増す肉体から繰り出される、大谷のパワフルな打撃。ただ高卒ルーキー時代からその打球の鋭さは話題になっていた。
日本ハムで大谷を育成し、今年のWBC日本代表でも共闘した栗山監督が驚きを持って語っていたのは、6月9日ヤクルト戦の第1打席だった。