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現役ドラフト「50%が1年で戦力外」疑問の声も…細川成也、大竹耕太郎の成功に意義があるワケ〈阪神→巨人の馬場皐輔ら24人成績を見る〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama(L,C)/JIJI PRESS
posted2023/12/09 17:03
現役ドラフト1年目の“成功例”となった大竹耕太郎と細川成也。巨人へと移籍する馬場皐輔らはどんな結果を残すか
楽天はDeNAの櫻井を指名。2021年には30試合に登板したが、2022年に左ひじ尺骨の手術を受けて育成契約に。リハビリ途上だった。西武が指名した広島の中村祐太は、2013年のドラフト5位だが2017年に一軍デビュー、ローテに乗って5勝を挙げたがこれがキャリアハイ、今年は救援で5試合投げている。
日本ハムが指名したソフトバンクの水谷瞬は、2018年ドラフト5位で一軍での出場なし。しかし筑後のファームでは目立つ存在だった。父はナイジェリア人で、母は日本人。193cmの精悍な風貌、俊足と長打力は大いに可能性を感じさせる。
現役ドラフトは2023年最後の補強であり、各球団としては、来季の構想が固まったうえでのオプション的な補強と言えよう。
昨年は12人中6人が投手だったが、今季は9人。ポジションが被る野手ではなく、使えるなら何枚でも欲しい救援投手に指名が集まったようだ。その点で言えば各球団は昨年に比べて即戦力中心で、現実的な選択をした印象がある。
昨年12人の2シーズン成績を見て感じる“意義”とは
昨年の現役ドラフトで指名された12人の結果を見ておこう。成績は2023年←2022年。年齢は指名時のもので、●は今オフに戦力外になった選手。
オリックス←ヤクルト/渡邉大樹25歳(外)●
1試2打0安0本0点0盗 率.000 ← 49試16打2安0本2点2盗 率.125
ソフトバンク←日本ハム/古川侑利27歳(投)●
9試0勝0敗0S0H10回 率4.50 ← 34試0勝1敗0S3H35.1回 率4.08
西武←阪神/陽川尚将31歳(内)
9試24打4安1本1点0盗 率.167 ← 45試68打20安1本6点0盗 率.294
楽天←広島/正隋優弥26歳(外)●
1試1打0安0本0点0盗 率.000 ← (一軍出場なし)
ロッテ←オリックス/大下誠一郎25歳(内)
23試22打5安1本2点0盗 率.227 ← 5試8打2安0本0点0盗 率.250
日本ハム←西武/松岡洸希22歳(投)●
(一軍出場なし) ← (一軍出場なし)
ヤクルト←ロッテ/成田翔24歳(投)●
3試0勝0敗0S0H3.1回 率5.40 ← (一軍出場なし)
DeNA←中日/笠原祥太郎27歳(投)●
2試0勝2敗0S0H6回 率4.50 ← 4試1勝2敗0S0H17回 率5.29
阪神←ソフトバンク/大竹耕太郎27歳(投)
21試12勝2敗0S0H131.2回 率2.26 ← 2試0勝2敗0S0H7回 率6.43
巨人←楽天/オコエ瑠偉25歳(外)
41試119打28安2本6点1盗 率.235 ← 6試25打5安0本0点1盗 率.200
広島←巨人/戸根千明30歳(投)
24試1勝0敗0S5H21.1回 率4.64 ← 9試0勝0敗0S0H14.1回 率5.02
中日←DeNA/細川成也24歳(外)
140試518打131安24本78点0盗 率.253 ← 18試19打1安1本1点0盗 率.053
ソフトバンクから阪神に移籍した大竹が12勝2敗と好成績を上げて優勝・日本一の原動力になったほか、DeNAから中日に移籍した細川も外野のポジションを獲得して中軸を打った。また楽天から巨人に移籍したオコエ、巨人から広島に移籍した戸根、オリックスからロッテに移籍した大下も前年より出場試合数を増やしたものの、一方で半分にあたる6人の選手が戦力外になった。
これをして「現役ドラフトの意義」に疑問を呈する人もいるようだが、試合に出ずにファームでくすぶり続けるのが良いとは言えないだろう。2人の選手がブレークしたことで「現役ドラフト」の初年度は成功だったと言えるのではないか。
今年の12人のうち、大竹や細川らのように――どの選手が「現役ドラフトの成功例」になるか、楽しみに見届けたい。