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「三原舞依はこんなもんで終わってはいけない」コーチからの沁みる言葉…深刻だった怪我、演技前に叩いた右足「死に物狂いでやっていきたい」
posted2023/12/07 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
安堵を含んだ笑顔だった。
フィギュアスケートのNHK杯に出場した三原舞依は、穏やかな表情を浮かべていた。
昨シーズンはグランプリシリーズで連勝し、初めて出場したグランプリファイナルで初優勝を遂げている。世界選手権にも6年ぶりに出場を果たし、5位で終えた。
開幕前日には多くを語らなかったが…
迎えた2023-2024シーズン、9月から10月に開催された近畿選手権を欠場し、10月のフィンランディア杯も欠場。11月上旬の中国杯も、右足首の怪我が完治していないことから大会直前に欠場を発表した。出場機会がゼロのまま進むシーズンは、容易ならざる状態を想起させた。
そしてようやく叶ったシーズン初戦がNHK杯だった。
開幕前日、三原は言った。
「(怪我のことは)詳しくは言わないでおこうかなと思っているんですけど」
このときには多くを語らなかったものの、やはり深刻であったことが、大会が進むにつれて明らかになっていく。
演技前に右足を叩いた「アドレナリンと痛み止めで…」
11月24日、ショートプログラムを迎える。曲は『To Love You More』。
冒頭のダブルアクセルを成功させると、トリプルフリップ-ダブルトウループと続き、トリプルルッツは回転不足となったものの着氷。得点は62.82点、4位で終えた。
演技がスタートする前、三原は右足をたたいていた。その場面をこう振り返る。