- #1
- #2
ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「オカダ戦でケガをしてなかったら、辞めていた」生存率18%からの復帰、柴田勝頼が“心の師”天龍源一郎に明かした闘病後の本音《対談実現》
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2023/12/03 11:00
天龍源一郎と柴田勝頼。関係性の深い二人が語り合う特別対談が実現した
柴田の告白「オカダ戦でケガをしてなかったら、辞めていたと思う」
天龍 この5年間、ただ自分のリハビリをするだけじゃなく、自分がロスでやってきたことが実績として残っているんだから、柴田くんは恵まれてるよ。そのコーチ業が終わって、今はどうしてるの?
柴田 道場の閉鎖が決まった時、「自分のことをやってもいいですか?」っていう話を年明けの契約の時に社長としました。それでいま、AEWというアメリカの団体に単発で上がっていて、今年は15試合くらいしてます。
天龍 クリス・ジェリコがいるところか。ジェリコもカタい試合が好きだもんね(笑)。
柴田 ジェリコとはまだやったことがないんで、ぜひやってみたいですね。アメリカに行って思ったのは、結局、好きなことをやるのがいちばんいいのかなと思いました。
天龍 この年齢になって自分の青春の過程を振り返ると、「いろんなことがあって良かった」って思うことはあっても、「あんなことしなければよかった」と思うことはほぼないと思うよ。どんなことでも自分の糧になってるから。
柴田 自分はオカダ戦でケガをしてなかったら、逆にもう辞めていたんじゃないかとも思うんですよ。あのとき37歳だったんですけど、「あと3年もつかな……」って、家族には言ってたんです。「40になったら辞める。もう無理かもしれない」って。
「これから自分の選手生命を大事に使いたい」
天龍 当時は試合数も多かっただろうからね。新日本はコキ使うから(笑)。
柴田 そうなんですよ! 自分が言いたい事を天龍さんが全部代弁してくれるので感謝しかありません! ありがとうございます(笑)。当時はコンディションもあまり良くなかったので、大ケガをしたことで逆に選手生命が延びた気がします。アメリカに行っていろんな意味で視野も広がったので。これから自分の選手生命を大事に使いたいと思います。
天龍 せっかくアメリカにいるなら、柴田くんと中邑真輔でタッグ組めばいいじゃない。
柴田 いや、団体的にもライバル関係にあるみたいなので(笑)。
天龍 突然、WWEに乱入したほうがいいよ。兄弟だってことにしてさ(笑)。
柴田 じつは昨年、猪木さんのお葬式のときに中邑と久々に会って、自分のほうから「中邑、試合をやろう!」って言ったんですけど、中邑は「新日本がWWEにいくら払わなきゃいけないんだろう……」とか現実的な話をしてて。「そういうことじゃなくてさ、俺らができるのはいましかないよ! 金は新日本が払えばいいからさ」っていう話をチラッとしたんですけどね。
天龍 じゃあ、ジェリコの団体にお金を出してもらうか(笑)。同じ業界にいるんだから、可能性はゼロじゃない。俺は柴田くんがアメリカで活躍してくれるのを楽しみにしてるよ。
《つづく》