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岡田彰布のナゾ「7月8日のある発言」あなたは“7つのアレ”を解読できるか? 研究家もビックリ「あれはあれやで」から「あれ誰や」まで
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNanae Suzuki
posted2023/12/02 06:01
岡田彰布の「アレ」全発言を検証してみた
「三ツ俣を高めで空振り三振を取ったから、その余韻があるんよな。おれはビックリしたよ、高めに構えたから。三ツ俣やから三振よ。そういうなんかもう、野球を考えるんやなしに、当たり前のことをやればいい。あわよくばとか裏をかくとか、そんなんいらんねん。余裕のある時よ。接戦の大事な場面で裏なんかかかれへんって」
一連のコメントが終わった。
「あれはあれやで」の意味とは?
まず、「あれはあれやで」から解決していこう。後ろに「三ツ俣を高めで空振り三振を取ったから、その余韻があるんよな」とある。すなわち、2番目の「あれ」は後の内容を指している。次に、「あれはあれやで」の1番目の「あれ」を考えてみよう。前の文章を読み直すと、岡田監督はデッドボールの話題に移っている。7月8日のスコアシートを見ると、7回に伊藤将司―梅野隆太郎のバッテリーが三ツ俣大樹の次打者・長岡秀樹へ死球を与えている(文脈の「あれ」)。
つまり、「あれはあれやで」はこう言い換えられる。
「長岡への死球は三ツ俣を高めで空振り三振に取ったから生まれたんやで」
1つの山は乗り越えた。しかし、まだ難問が残っている。「あれ誰や」の「あれ」は誰なのか(人を指す「あれ」)。最初は話が急展開すぎて、意味を理解できなかったが、読み返すと直後にヒントがあった。
「中日でも2ストライクから高めでデッドボールを当てて、なんで同じ事ばっかりするんやろな」
調べてみると、6月28日に島本浩也ー坂本誠志郎のバッテリーが延長10回表、中日・福田永将に2ストライクから死球を与え、つづく岡林勇希とビシエドにタイムリーを打たれていた。つまり、岡田監督の「あれ誰や」は島本と坂本を指していたと思われる。
岡田彰布66歳の明晰さ
この「アレ用法」分析を通じて、改めて岡田監督の頭の回転の速さを感じた。人間の脳は決して加齢とともに衰えるわけではなさそうだ。普段から、物事を突き詰めて考え抜いていれば、脳は何歳になっても活発に働くのではないか。
もし岡田監督がこの文章を読めば「なに、急にまとめに入ってんねん。あれやろ、最後取り繕っただけやろ、はっきり言うて。なんやねん、あれ」と断じられるかもしれない。