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JリーグPRESSBACK NUMBER
「勝てなければワシがクビになればいいだけ」4度昇格、2度降格、途中解任3回も人気銘柄の「イシさん」サッカー監督歴25年で“一番の大勝負”
text by
ひぐらしひなつHinatsu Higurashi
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2023/12/05 11:00
2014シーズン、モンテディオ山形時代の石﨑信弘監督
石﨑の率いる6位・モンテディオは、まず準決勝で4位・ジュビロを下し、その後に3位・ジェフに勝たなくては、J1昇格を掴むことが出来ない。レギュレーション上では最も弱い立場だ。
ただし、ジュビロはシーズン終盤に調子を落とし、リーグ戦ラストは6戦白星なし。モンテディオとも2週間前に対戦して0-2で敗れている。秋以降に勝点を伸ばしたモンテディオのほうが、チーム状態はよかった。モンテディオ側の懸念点は、天皇杯準決勝・ジェフ戦から中3日という準備期間の短さだ。だが、3-2でジェフを下しての決勝進出も、モンテディオの勢いを加速させていた。
終了間際にGKが…Jリーグ史に残る劇的な決勝点
11月30日、直前の天皇杯から先発2選手のみを入れ替えて敵地ヤマハスタジアムに乗り込んだモンテディオは、ジュビロの積極的な攻撃を守護神・山岸範宏の好セーブでしのぎつつ、26分に先制に成功する。
だが、前半終了間際に失点し、後半も相手の好機が続く中、エースストライカーのディエゴが負傷交代となった。同点のままではジュビロの勝ち抜けが決まってしまう。モンテディオに攻めさせまいと圧をかけ続けるジュビロ優勢の時間帯を耐えながら、石﨑は交代カードを切って反撃に出ようとするが、状況はなかなか変わらない。
1-1のまま90分が過ぎ、モンテディオの昇格争いもここまでかと思われたアディショナルタイムに、しかし、試合は劇的に展開した。90+2分に獲得した右コーナーキック。石川竜也の放った弾道に飛び込んだのは、この試合で何度もファインセーブを繰り出しピンチを救ってきた守護神だった。
最後のチャンスに懸けて攻め上がっていた山岸が頭で放った渾身のシュートは、ゴール左隅へと吸い込まれる。
Jリーグで得点した7人目のゴールキーパーは、歓喜に沸くチームメイトたちに押し潰されながら、J1昇格への望みをつないだヒーローとなった。
立ちはだかるラスボスはジェフだった
立ちはだかるラスボスは、J1昇格プレーオフ導入後3年連続で参戦しているジェフだ。11日前に敗れた天皇杯のリベンジも胸に、“3度目の正直”を期してモンテディオを叩きに来た。