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なぜ「久保建英は“納得いってない”表情」だった? 世界的DFセルヒオ・ラモス攻略も…カメラマンが見た「勝利は最低条件」の自負
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/11/30 11:02
久保建英はセビージャ戦無得点ながら、セルヒオ・ラモス相手にも優勢を築いた
後半に入って60分、セビージャFWエンネスリのゴールにより点差は縮まり、一進一退の攻防に拍車がかかる。さらにエンネスリのシュートがポストに弾かれる場面もあり、ソシエダサポーターは恐怖を味わった。
勝利しても、久保の表情が冴えなく見えたのはなぜか
白熱した展開は終了間際、88分のアウェイチーム2名の同時退場により決着を迎えたと思われた。
ブライス・メンデスに対して足裏のタックルが入ったラモスに、VAR判定もありレッドカードが出された。またその際の抗議によりキャプテンのヘスス・ナバスも一発退場を命じられたからだ。
しかしアディショナルタイム8分を加えた試合終了まで、セビージャが捨て身の攻勢に出ると、ソシエダは数的有利を有効活用することができず、猛攻を受けてしまう。からくも1点リードのままホームチームが逃げ切りに成功したが、終了のホイッスルと共に両チーム選手が膝に手をつく程の熱戦は、過密日程が続くソシエダとしてみれば不必要に消耗した苦戦だったと言える。
そして、終了後のピッチへ挨拶のために戻った久保の表情は冴えないものに見えた。チームの勝利は最低条件、その上でゴールやアシストが欲しい。その自身のゴールやアシストがチームを一番助けることになる。
そんなチームの中心としての自負からくるものだっただろうか。次戦の中2日、CLザルツブルク戦へと挑んだ。試合は0-0のスコアレスドローに終わったが、途中出場した久保は終了間際に自ら得た直接FKで惜しいシュートを放つなど、持続して存在感を見せている――。
サンセバスチャンから30分弱の漁村で見た極上の風景
撮影雑記も徒然と。
この日11月26日の午前中、サンセバスチャン市内では市民マラソンが行われていた。秋色に染まる市内を多くのランナーが走り抜け、沿道から多くの声援が飛んでいた。
撮影まで時間があったため、近郊電車で30分弱のオリオという町まで足を伸ばした。オリア川がビスケー湾に注ぐ河口付近の漁村である。
駅から下り、目の前にかかる橋を渡ると町の中心地となる。広場のカフェでは日曜の朝を過ごす地元民の姿があった。
空気には肌寒さを感じたが、背中に当たる太陽が心地よい。
川、海、山に囲まれており、少し散策するだけで起伏に富んだ地形であることが分かる。至る所に階段、スロープ、手すりなどが設置されており、玄関に入るために階段や渡り廊下を通るような住居も。とても小さな町ながら、ちょっとしたアトラクションの中に迷い込んだ気分になる。
川沿いの高級感漂うレストランの入口あたりでは、バチバチと音をたてて炭が焚かれていた。鯛やエビの炭火焼きが絶品らしいが、時間の都合上食べることはできなかった。
サンセバスチャンまで30分もかからないのだが……1時間に1本しか電車が通っていない。残念ながら、腹越しらえは市内へ戻ってからとなった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。