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箱根駅伝で四半世紀以上優勝なし…留学生ランナーは優勝への近道なのか? マヤカ、ダニエル、モグスから見る留学生の箱根駅伝ヒストリー
text by
工藤隆一Ryuichi Kudo
photograph byAFLO
posted2024/01/02 11:04
箱根駅伝の往路区間で毎年激走を見せる留学生ランナー。しかし、彼らを擁した大学が近年、優勝からは遠ざかっているという
そこで、留学生については、2006(平成18)年の第82回大会からは16名のエントリー時点では2名まで登録可能だが、実際に本番で走れるのはひとりだけ、というルールが、前年の予選会から適用されるようになった。
留学生は箱根駅伝だけではなく、高校駅伝も席巻した。毎年12月に京都市の「都大路」を舞台に開催される全国高等学校駅伝競走大会で1992(平成4)年、宮城県代表の仙台育英がケニアからの留学生を初めて走らせたのだ。そして、翌1993(平成5)年ではふたりの留学生を加えて編成した同校が、男女ともに優勝を飾ったのである。
予選会組に留学生が増えている現象
当然、留学生の数を制限する規則がつくられた。その結果、走れる留学生はひとり、最長区間の1区(男子10km、女子は6km)は走れない、などのルールが確立されて、今日に至っている。
少子化の時代、全国の私立高校は、経営的にも生徒を一定数確保しなければならない。野球部、サッカー部、吹奏楽部が、50人以上の部員を擁する大所帯になるのはそのためである。テレビで放映されるスポーツ・イベントに出場し、好成績を収めることは、イメージ的にも経営的にも、恰好の「宣伝の場」で、大げさにいえば、学校経営の生き残りをかけた戦いの場でもあるのだ。
もちろん新興の私立大学も同じである。というわけで、現在の箱根駅伝は、本戦よりもむしろ予選会に出場する大学に留学生が増えている現象が起きている。
個人成績1位もチームは32位
2023(令和5)年の箱根駅伝第99回大会では7校が留学生を擁して参加したが、シード権を獲得できたのは8位の創価大と9位の城西大の2校のみだった。2022(令和4)年の10月に行われた第99回大会の予選会では、参加44校中15校が留学生を擁したが、予選を通過したのは4校(大東文化大、城西大、山梨学院大、国士舘大)にすぎなかった。