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《交際0日で結婚》「私を支えてくれた夫は大偉業だと」ブラジル柔道コーチ藤井裕子さん41歳と夫の美しい信頼「育児に関われて幸福でした」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byJIJI PRESS
posted2023/11/25 17:02
2019年、世界柔道での藤井裕子さん
「2013年以降、私は柔道のプロコーチとしてブラジル五輪委員会(COB)と契約を結び、COBからCBJへ派遣されていました。ところが、リオ五輪後、ブラジル政府からCOBへの補助金が減少し、COBが私を雇用できなくなった。そこでCBJが私を直接雇用しようと努力してくれたのですが、費用が工面できず、退職せざるをえなくなった。
そのような状況を見て、レアソンの設立者フラビオ・カントが『うちのコーチになってくれないか』と声をかけてくれたのです。ブラジルへ来た直後、私はボランティアとしてレアソンで指導をしており、フラビオとは旧知の間柄でしたから」
今も指導を望んでくれるのは私への信頼の証
――私もフラビオに話を聞きましたが(※詳細は第5回)、彼は上流階級の出身でありながらスラム街の子供たちに無償で柔道を教え始め、柔道を通じて彼らの人生を向上させるべくレアソンを立ち上げ、現役を終えてからもその活動に精力を注いでいます。大変な人ですね。
「彼の『恵まれない人たちを助けたい』という意欲、そして自分の思いを実現する能力は素晴らしい。尊敬しています」
――そのフラビオも、「ユーコは、考え方が私と非常に似ている。できればいつまでもブラジルに留まって指導を続けてほしいが、仮に活動の場を国外へ移しても、レアソンとの関係を続けてほしい」と語っていました。
「あれほどの人にそう言っていただけて、とても光栄です」
――レアソン出身のラファエラは、現在の所属はフラメンゴ(注:名門フットボールクラブの柔道部門)です。にもかかわらず、クラブの垣根を越え、レアソンのコーチである裕子さんの個人指導を受けています。
「10年前にレアソンで出会ったラファエラが、ブラジル代表での個人指導を経て、今も指導を望んでくれるのは誇らしいですね。私への信頼の証ですから」
私を支えてくれた夫は大偉業だと考えています
――今後については、どう考えていますか?
「当面、来年末までブラジルで指導を続け、その後は日本へ戻って働きたいと考えています」
――これまで、他国からもオファーを受けているのでは?