酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「台湾・韓国チアリーダー大盛り上がり、日本の即席応援団もオーストラリアを…」“井端ジャパンだけじゃない”劇的アジアCSを現地で見た
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byGene Wang/Getty Images
posted2023/11/21 11:00
井端弘和監督の下でアジア制覇を成し遂げた若き侍ジャパン。ただしライバル国も進境が著しそうだ
オーストラリアにもABLというプロリーグがあるが、南半球のためウィンターリーグの扱いで他の3カ国のトップリーグの中では見劣りがする。
若手中心ということで、国際大会の常連で今年のWBCでも活躍したティム・ケネリーは姿を見せず。それでも身体能力の高い選手は、時折好プレーを見せた。特に投手陣が頑張ったが、第3戦の日本戦では日本に0-10でコールド負けした。
驚いたのは、この試合で三塁を守った19歳のルーク・スミス。守備位置に飛んできた打球のうちアウトにしたのは4回の併殺打だけ。あとは内野安打、失策、内野安打、失策と全部生かしてしまった。守備率は実に0.167。しかしこういう選手が数年後に主力になるのがオーストラリアともいえる。
日本が絡まない対戦も興味深かったワケ
予選のオーストラリア対韓国戦、オーストラリアは細かな継投で韓国打線をかわし、2対2の同点でタイブレークに持ち込んだが、10回表、オーストラリアの攻撃は1死から無得点に終わり、韓国のサヨナラ勝ちを許した。
また台湾対オーストラリア戦も0-0でタイブレークとなったが、台湾が10回満塁本塁打などで6点を取ってオーストラリアに大勝した。
オーストラリアは4敗で終わったが惜しい試合もあったのだ。
予選の台湾対韓国戦。台湾は、楽天イーグルスの育成左腕・王彦程を先発させた。日本でいいところを見せさせてやろうという陳金鋒監督の配慮だったかもしれないが、王は全くの不振で2回途中までに5失点。試合の帰趨は序盤で決まってしまった。試合は6-1で韓国が勝った。これまでの国際試合では険悪な雰囲気になることもある両チームだが、6回、韓国の金亨俊の長打性の打球を台湾センターの郭天信が好捕すると、韓国側の応援席からも拍手が起こった。国際試合がいいなと思うのはこういう時だ。
チアリーダーの応援合戦+日本人による即席応援団が
台湾と韓国の両チームともに、チアリーダーとチアガールが帯同している。今大会、東京ドームには内野席にステージが設けられていたが、両軍の応援合戦は実に派手で、お客はそれを存分に楽しんでいた。
規模の大きさでは、日本の応援団が他国を圧倒した。出場選手の応援歌をすべてマスターして、試合の間中、ものすごい大音量で応援した。3月のWBCにも勝るとも劣らなかった。
予選の3日間が終わって、11月19日は3位決定戦と決勝戦。両試合ともにサヨナラゲームとなった。