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「今思うと、一匹狼だった」“美しすぎる女子野球選手”の葛藤…引退から2年、加藤優(28歳)の告白「夜遅くまで接待じゃないですけど…」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byShiro Miyake
posted2023/11/22 11:02
2年前に現役を引退し、現在は子供向け野球スクールで指導者としても活動している加藤優さん
「夜遅くまで接待じゃないですけど…」
――注目されている分、結果を出さなきゃいけない、練習しなきゃいけないという思いも強かったですか?
加藤 ありました。難しかったのは、みんなが一緒に練習する時間に、イベントに出るというようなこともあって。夜遅くまで接待じゃないですけど、挨拶回りや集まりに行ったりとか。もちろんそれも大事な仕事の一つですけど、その分空いている時間でいかに練習するかを考えたり……兼ね合いが大変ではありました。
――空き時間にはどのように自主練を?
加藤 私の恩師であるコーチがバッティングセンターを経営していたので、そこに夜打ちに行ったりしていましたね。
――「一匹狼」と言っていましたが、チームメートは気にしていなくても、加藤さんの方が心苦しく感じてしまう部分があったのでしょうか?
加藤 変に気を遣いすぎた部分もあったのかなと思います。でもプロチームって、みんなそれぞれ自分の成績に集中しているので居心地は良かったです。今思えば住宅のサポートがあったり、練習場所や時間も球団の方で確保してくれていたり、すごくいい環境だったと思います。
打ち明けた、“高校3年生のトラウマ”
「埼玉アストライア」での4年間のプロ野球生活。当初は“話題先行”な部分もあったが、たゆまぬ努力で力をつけ4年目の19年には外野手部門で「ベストナイン」を受賞。トレーニング方法も独自に研究してシャープなスイングで安打を重ねた。現役時代を通じて、女子野球の日本代表のセレクションには4度挑戦したものの、代表への選出はなかった。
――当初プロ選手は日本代表のトライアウトを受けられない時期もありました。解禁となってからは夢だった代表入りを目指していたのでしょうか?
加藤 2018年にあった女子野球W杯に向けたトライアウトが17年の秋にあったんです。でも私、受けられなかったんですよ。まだ少し自信がなかったこともありますし、高校3年生で代表候補選手になった時に、ちょっと嫌な思いをしていて……。それがまだ少しトラウマとして残っていたところもあったんです。
夢へと踏み出すその足を竦ませた経験とはどんなものだったのか。〈つづく〉
加藤優(Yu Kato)
1995年5月15日生まれ。神奈川県出身。5歳で野球を始め、高校時代からアサヒトラストに所属、日本代表候補に選出される。女子プロ野球選手として、2016年から埼玉アストライアでプレーし、2021年に現役引退。現在は自身が代表を務める野球スクールで指導者としても活動している。