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“美しすぎる”と注目された女子野球選手のトラウマ「当時、私は高校生で…」なぜ加藤優は引退を決意した?「(女子野球に)危機感を抱いていた」
posted2023/11/22 11:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
L)Shiro Miyake、R)本人提供
現役時代、加藤について回った“美しすぎる女子野球選手”の代名詞はそもそも、高校3年生の時に2014年W杯に向けた侍ジャパン女子代表のトライアウトを受験した際に生まれたものだった。そこで取材を受けた映像などがネット上で話題となり、一気に“拡散”した。加藤は代表候補には選ばれたが、最終選考で落選。この時の経験は人生を大きく切り拓いた一方で、十代の若い女性には辛すぎる思いもたくさん味わった。
――「美しすぎる」って自分で名乗っているわけではないのに、心無いコメントが飛んでくるのは本当に辛いですね。
加藤優さん(以下、加藤) 当時の私は高校生で何の知識もなくて、ネットニュースやそこにコメント欄があるのも初めて知ったくらいだったんです。そこで色々なコメントを目にしてしまって。一緒に受けている候補選手の中にも、ちょっと嫌なことを言ってくる人もいました。「どうせ受かると思ってるんでしょ?」って言ってくる記者の方もいたんですよ。
――十代には辛いですね。
代表トライアウトがトラウマに
加藤 トライアウトを受けているときも全然余裕がなくて、自分でも実力不足だと感じながらも代表合宿中、必死にやっている状態だったんです。(色々な声は)気にしなきゃいいという話なんですけど、そこは子供ながらもだいぶ大変だったんですね。そんな経験がトラウマになってしまって、以降は代表のセレクションは自分に確固たる自信が持てるまでは受けられないな、という思いがありました。
――2017年のセレクションを見送ったのは、そんな思いもあったんですね。
加藤 受けないと決めた時に関係者から連絡が結構来て、「何で受けないの?」とも言われたんです。もしかしたらチャレンジしていたらワンチャンあったかな、って今だったら思うんですけどね(笑)。その後、コロナ禍も経て20年の冬に行われた代表のセレクションには行ったんですけど、全然準備ができていなくて……。落選してそのまま現役引退を決めました。代表は本当にタイミングが合わなかったというか、縁がなかったなと思いますね。