デイサービスで介護職をしながら練習

――小学生の頃は女子の方が上手いケースもあるけれど、中学生になって体格差が付き始めると難しくなる、という話もよく聞きます。

加藤　私は成長が早くて身長も大きかったので、中学1年生ぐらいまでは全然戦える感じでした。でもやっぱり中学2年生ぐらいから男の子たちがどんどん大きくなって、トレーニング系はついていくのが大変でしたね。

――厚木商業高校に入学して当初は強豪のソフトボール部に入部。1年秋に退部して企業チーム「アサヒトラスト女子硬式野球部」に入団しています。当時女子はソフトボールが主流だと思いますが、硬式野球にこだわったのはなぜだったのでしょうか？

加藤　中学2年生の頃に、ボーイズリーグで女子の選抜チームに入ったんです。そこで女子野球にも日本代表というものがあるということを知って、目指したいと思っていました。ソフトボールは少し揉めて辞めてしまったんですが、そのタイミングでアサヒトラストに声をかけてもらいました。大人中心のチームなんですけど、当時は中高生も受け入れていて、平日は学校に通って土日に練習をしていました。

©Shiro Miyake

――高校卒業後は、会社員生活も経験されたとか？

加藤　アサヒトラストの親会社に就職して、働きながら野球をさせてもらいました。私は介護の方の事業に配属になって、デイサービスでおじいちゃんやおばあちゃんと一緒に運動をしたり、体調管理の担当をしたりしていました。でも残業があったりで野球の練習をする時間がなかなか取れなくて……。1年で会社は退社して、その後は別のところで介護のアルバイトをしながらクラブ生として練習をさせてもらったんです。

“美しすぎる女子野球選手”と注目を浴び「一匹狼に」

加藤は2015年に女子プロ野球の合同トライアウトを受けて合格。「埼玉アストライア」に所属して外野手として2016年春の開幕戦からデビューする。“美しすぎる女子野球選手”としてメディアの注目を集め、プロ野球の始球式やチームのイベント、テレビ番組出演など引っ張りだこ。当時、運営する日本女子プロ野球機構が行っていた「美女9総選挙」でも2年連続で1位に選ばれるなど、注目を一身に浴びた。

――「埼玉アストライア」ではどんな生活を送っていたんですか？

加藤　午前中は練習して、午後は球団の事務所で運営に関する仕事をこなすという感じでした。私はグッズ担当だったので、グッズの企画を考えたり。それ以外の日は野球教室やイベントに行ったりという生活でしたね。

現役時代の加藤優　©本人提供

――女子プロ野球の「顔」として注目を集める反面、野球選手としては葛藤もあったのではないかと思います。

加藤　ありがたいことに色々なメディアに出させてもらっていました。でも、チームの中には私より野球が上手な選手もいる。その中でメディアに出るのはいつも私、というのは申し訳ない思いもありました。結果を出して試合にちゃんと出るようになるまではなかなか……そういう意味でも色々としんどかったところはあるかな。私、人とコミュニケーションを取るのが上手じゃないので、今思えば4年間通してずっと一匹狼のような感じだったかもしれません。

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