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岡田彰布は報道陣に15回怒っていた「当たり前のことやんか」本音ズバリの岡田語録“ガチ検証”でわかった「あの口グセが阪神を日本一にした」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNanae Suzuki
posted2023/11/07 11:03
岡田彰布の口癖「当たり前やんか」を分析してみた
例1:2023年3月31日 DeNA戦 ○6対3 8回にK・ケラーを投入
―去年がよぎったと。
「いや、よぎるよ。パッと見たらケラーやったから。よぎるやろ。俺は何にも関係ないけど、そらしゃあないやん。投げてるのケラーやったから、そらよぎるやろ。よぎったよ、そやろ。当たり前やろ。(もし)俺スタンドで見ててもよぎったよ。スタンドでもベンチでもよぎったよ」
わずか数秒の間に「よぎる」「よぎった」と計6回も連発し、「俺スタンドで見ててもよぎったよ」と想像のち興奮。「パッと見たらケラーやったから。よぎるやろ」と言っているが、そのケラーを投入したのは岡田監督である。
岡田監督は興奮すると「当たり前」が出る傾向もあるようだ。7回パーフェクトの村上頌樹を交代させて同点に追い付かれながらも、延長10回に近本のタイムリーで勝った巨人戦後にはこう語った。
例2:2023年4月12日 巨人 ○2対1
―今日は村上くんの好投が勝利に結びついたっていうのは、チーム一丸の大きい勝利だったと思うが
「いやいや、大きい大きい。それはもう全然大きいよ、勝ちは誰になったん? 今日は岩﨑か? チームの勝ち星は村上でええやろさ。当然やんそんなんな当たり前やん」
“チームの勝ち星は村上”という新基軸を打ち出した上で「当然やん」「当たり前やん」と言っているが、本当に「当たり前」なのか、もはや誰にもわからない。このように単なるチームへの意識付けだけではなく、喜怒哀楽の表現としても「当たり前」は使われてきた。
岡田監督が愛される理由
岡田監督がファンから愛される理由はここにある。もし真面目で無難なコメントしか残さず、報道陣に気を遣っていたら、面白さは半減どころかほぼ皆無になる。
プロ野球は真剣勝負であると同時に、エンターテイメントでもある。記者へのコメントをチームへの意識付けに役立て、ファンも楽しませる。両方の要素を持つ最高の監督こそ、岡田彰布なのだ――。
もしそう問いかけたら「そらお前、後付けやろ、はっきり言うて。後付けならナンボでも言えるわ。当たり前やんか」と怒られるかもしれない。