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DeNAドラフト、度会隆輝サプライズ1位指名の真相…スカウトが明かす“指名に込めた思い”「直前の控室で最終決定」「ロッテは想定内でした」
posted2023/10/31 11:05
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
「今年に関しては、一巡目選手の交渉権が抽選で獲得できたことで、本当にエキサイティングでした。やはり狙っていた1位の選手を獲れるか獲れないかで、その後のドラフトの流れが大きく変わりますから、本当に引き当ててくれた三浦大輔監督には感謝ですね」
若干高揚した口調でこう語るのは、横浜DeNAベイスターズのスカウト部スカウティングディレクターの河原隆一氏だ。現役時代に左の中継ぎ投手として活躍した河原氏は、2004年の現役引退後、主にスカウト畑を歩んできたこの道のプロフェッショナル。現在は進藤達哉スカウト部長らとエリア担当スカウトが調査し、推薦する選手を詳細にチェックする役目を担っている。
仮に外したとしても…と計算した上での指名
さて、まずは1位指名をした度会隆輝(ENEOS)についてだが、今年は大卒の即戦力投手が豊富であり、大方の予想ではDeNAも投手を1位指名すると見られていた。だが蓋を開けてみれば、野手として今年一番の評価を受けていた度会を選択。各所で驚きの声が上がった。
「たしかに来季に向けトレバー・バウアーや今永昇太らの去就がわからず、ピッチャーを獲得するべきだという意見は当然ありましたが、ドラフト全体のリストを見たとき、即戦力となる野手が少なかったんです。もし1位をピッチャーにして、その後、野手を獲得に行った場合、有力な選手が残っていない可能性がありました。そうであれば度会選手で勝負をして、仮に外したとしても、即戦力となるピッチャーは残っていると読み、そちらを狙おうと。最終決定は、本会場に向かう前の控室で萩原龍大チーム統括本部長から伝えられました」
首脳陣と話しても一軍で通用する選手はまだ少ない
投手ではなく、即戦力の野手。たしかにチーム状況を鑑みれば、DeNAのレギュラーで25歳以下は牧秀悟のみ。山本祐大や林琢真、梶原昂希といった若手選手の台頭はあるものの、全体を見れば一軍メンバーの高年齢化は進んでおり、牧と並び将来チームを牽引する若く活きのいい選手の獲得は重要事項だった。