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プロ野球PRESSBACK NUMBER
青学大ドラフトに密着「指名漏れか」“残されたキャプテン”は不安げな表情…突然の《楽天6位指名》に広島・新井監督が興奮「中島くんっ!」
posted2023/10/30 11:05
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Shigeki Yamamoto
新井貴浩が右手を上げた瞬間、常廣羽也斗の口元が…
「よしっ!」
10月26日、17時23分。グランドプリンスホテル新高輪で広島の新井貴浩監督が右手を突き上げた瞬間、およそ4.5キロ離れた青山学院大学青山キャンパスで、それまで“自分のこと”では感情を見せなかった常廣羽也斗の口元がようやく緩んだ。
スクリーンに映し出された新井監督の派手なアクションや「CSで菊池にスクイズのサインを出すときよりも緊張しました」というコメントに、会見場の空気も次第に解れていった。常廣の隣では、阪神に決まった下村海翔も、そして指名を待つキャプテンの中島大輔も、心から嬉しそうな笑顔を見せている。
「下村海翔選手が阪神タイガースより、常廣羽也斗選手が広島東洋カープより、1位指名を受けました。お二方、おめでとうございます」
拍手と歓声に沸く大学関係者たち。2人の記者会見を行うため、大会議室のレイアウトが変更されていく。正面の大型スクリーンは撤去され、壇上で常廣と下村が会見対応、中島を含めた野球部員は会見場の後方に設置されたモニターでドラフト中継を見ながら指名の瞬間を待ち続ける、というセッティングに切り替わった。
「常廣がいたから、ここまで頑張ってこられた」
17時40分から始まった記者会見では、両投手にさまざまな質問が投げかけられた。印象的だったのは、同学年の右投手として切磋琢磨を続けてきた常廣と下村が、互いへのリスペクトやライバル意識をまったく隠さなかったことだ。
174センチという上背ながら、最速155キロの直球と高い制球力、そして阪神の岡田彰布監督が“エグい”と称賛するカットボールを持ち、今季大ブレイクした村上頌樹を彷彿とさせる下村。同じセ・リーグの広島に決まった常廣に対して、こんな言葉を口にした。