「地獄みたいな日々」今は…

　2年前、19歳で一軍ショートに抜擢された頃は、「自分は一軍レベルにない」と痛感し自己嫌悪に陥る毎日だったが、ミスでチームの足を引っ張っても、打てなくても、中嶋監督は「何が何でも試合に出すからな」と使い続けた。

「毎日が地獄みたいな日々」と語っていたこともある。

　しかし今ではこう話す。

「今考えたら、使われていたことはめちゃくちゃ幸せなことだったなと思います。その時はめちゃくちゃキツかったですけど。今年開幕二軍だったことも、キツかったですけど、今考えたらすごくいい経験になりました。『このままじゃ、こんな選手で終わってしまう』という気持ちになれたので。そういうことに気づけたのは本当によかったです」

5月の楽天戦ではサヨナラ安打を放ち、指揮官から手荒い祝福を受けた　©︎JIJI PRESS

　昨年まで2割2分台だった打率は、今年2割7分5厘と大幅に向上。自身のシーズン最多を更新する103安打目を放った9月18日の試合後、「自己最多と言ってもまだまだレベルが低いんで」と苦笑しながら、こう強調していた。

「今はいっぱい打つというより、“いいところ”でちゃんと打てるようにしたい」

“エースいじり”は猛反省

　CS初戦、チームが苦境に陥る中、これ以上ない“いいところ”で放った2本のタイムリーに成長の跡が見えた。

　試合後のお立ち台では、エースをいじって観客を笑わせる余裕も。

「珍しく由伸さんが、ああいう感じだったんで、何点あってもいいなーと思って。そういう気持ちで（6回の打席に）入りました。（ベンチで山本に）『切り替えていけよ』という感じで声をかけました」

18日の初戦では４人の選手がお立ち台に。紅林（左）は“エースいじり”で観客を盛り上げたが…　©︎JIJI PRESS

　ただその後、ベンチ裏で行なった囲み取材では、「ちょっとお立ち台で言い過ぎちゃったんですけど」と猛反省。

「次、やり返してくれると思います」と神妙な顔でフォローした。

　CS第3戦は無安打に終わったが、好調は維持している。日本シリーズ進出をかけて、今後もカギを握る存在になりそうだ。