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「どこからも早稲田の名前は出てこないので」出雲駅伝“4年生出走ゼロ”だった臙脂の思惑…全日本&箱根に向けた《花田マジック》の行方
posted2023/10/13 17:02
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Nanae Suzuki
“6番目”。これが今の早稲田の定位置なのだろうか?
昨季、OBの花田勝彦氏が駅伝監督に就任して以降、昨年11月の全日本大学駅伝、今年1月の箱根駅伝、そして10月9日に行われた出雲駅伝と、早稲田はすべて6位という成績を残している。
近年の早稲田は良い時と悪い時との差がはっきりとしていた。力がある選手がそろっていても、箱根駅伝ではこの5年間で2回シード権を落としている。それがようやく安定してきたと言える。
特に昨シーズンの全日本と箱根は、多少のミスはあったものの、選手たちはきっちり力を出し切った印象があった。花田監督が掲げるチームテーマは【1=1】。すなわち、練習で蓄えた力を本番で発揮することを、選手たちは体現してみせた。基礎的な練習を選手たちに課し、土台から作り直した成果だった。
ただ、同じ6位という順位でも、今回の出雲は、昨シーズンの2つの駅伝とは少し意味合いが異なる。
「今回に関しては【1=1】ができなかった。普段やっていることをしっかり出せなかった」
花田監督は2時間8分後半から9分前半のタイムを想定していたが、向かい風や気温などの外的要因があったとはいえ、2時間11分36秒と想定よりも2分以上遅かった。
見方を変えれば、誤算があっても6位をキープできたとも言える。
だが、選手たちが掲げる目標は学生三大駅伝3位以内で、花田監督も「(出雲では)少なくともトップ5以内に入りたい」と話していただけに、フィニッシュ後の選手たちに喜ぶ様子はなかった。また、2位の創価大、3位の城西大には、今年の箱根駅伝で勝利しており、早稲田のファンにとっても物足りなさはあったのではないだろうか。
”4年生ゼロ”だった早稲田の出雲路
今回の出雲に早稲田は3年生以下のオーダーで臨んだ。
前半区間には、1区に伊藤大志(3年)、2区に山口智規(2年)、3区に石塚陽士(3年)と、今季のチームの顔である3人を注ぎ込んだ。
「伊藤の調子は良かったんですけど、山口と石塚には少し不安要素がありました。私の中で走れるだろうと判断しての起用でしたが、2区、3区が思ったよりも伸びませんでしたね」
山口は10日ほど前に熱発があり、石塚はコンディションが上がりきらないまま出雲駅伝当日を迎えていた。その不安は的中する。