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「もはや実業団レベルだ…」出雲駅伝を完勝、駒澤大なぜ“強すぎる”?「田澤が頂点のピラミッドシステム」「箱根では優位性がさらに増す」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/11 17:29
出雲駅伝6区を走った駒澤大キャプテンの鈴木芽吹。優勝を確実にするため、ペースを落とす選択もあったが、区間賞の鬼気迫る走りを見せた
最終的に3位の国学大に21秒の差をつけたのだが、満足した様子はなかった。
佐藤圭汰(2年)は2区区間賞ながら「昨年のタイムよりも遅いので、個人的にはまったく満足していないです」と、笑みがほとんどなかった。
区間2位~3位でも、選手たちは表情を曇らせ…
山川は3区で2位との差を広げたが、「前年の田澤さんのタイムを破れなかったですし、最後の1キロでタレてしまって……」と、自分の走りに納得がいっていなかった。
4区の伊藤は、「区間3位で先の2人とは差がありましたし、区間賞で5区に繋げることができなくて本当に悔しいです」と、表情を曇らせた。
5区の安原は「今回は順位を意識して、勝ち切ることを考えていたんですけど、区間2位はもう反省しかないです」と厳しい表情だった。
優勝のうれしさよりも自分の走りの反省を口にする選手ばかり。「それは、各自が目指しているものが高いから」と鈴木は言うが、彼らの言葉や個々の目標の高さ、意識の高さは、大学生の域を超え、実業団選手やプロ選手のようだ。
S-A-B-Cのピラミッドシステム
そういう意識を醸成しているのが、駒澤大のピラミッド型の強化だろう。
チームは、SABCに分かれているが、Sの上には春に卒業した田澤がおり、Sチームは鈴木、篠原、佐藤の3名。彼らは五輪や世界陸上を目指して、大八木弘明総監督の個人指導を受けている。実業団と変わらない質の高い練習をしており、そのSチームにAチームの選手は刺激を受け、BチームはAチームでやりたいという意識で練習に励んでいくという流れが生まれている。駒澤大は田澤がいた4年間を無駄にせず、優れたマネジメント力を駆使し、彼をうまく使いながら強化のシステムを作り上げた。それが全体の意識と力を押し上げつつ、さらに主力の力も伸ばしている要因だろう。
鈴木芽吹は「田澤に少しでも近づこうとしている」
田澤や前年度の主将・山野力もそうだったが、トップに立つ選手、主将の言動がチームに与える影響は極めて大きい。