「もはや実業団レベルだ…」出雲駅伝を完勝、駒澤大なぜ“強すぎる”？「田澤が頂点のピラミッドシステム」「箱根では優位性がさらに増す」

　アンカーでトップフィニッシュした鈴木芽吹主将の体が宙を舞った。

「昨年、胴上げされなかったんで、ちょっと怖かったけど、気持ちよかったです」

©Nanae Suzuki

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　鈴木は、大きな笑みを浮かべて、そういった。

鬼門だった1区を攻略

　学生三大駅伝の初戦となる出雲駅伝、駒澤大は、圧倒的な強さを見せつけた。

　1区の篠原倖太朗（3年）がトップに立つと、そのまま一度も首位を譲ることなく、完全優勝を果たした。しかも昨年、田澤廉（トヨタ自動車）を擁して打ち立てた記録を超え、大会新記録（2時間07分51秒）での勝利だった。

「勝利のポイントは1区でしたね。過去、駒澤が負けた時は、1区で出遅れていたんです。そこが鬼門だったんですけど、篠原が区間賞という最高の形で抜け出した。あれで後続の選手が自分の役割さえ果たせば、『最後には芽吹がいる』という精神的な安心感を持って走れた。1区と6区にあれだけの選手を置けたことが勝因の一つだと思います」

　藤田敦史監督は、安堵に満ちた表情でそう語った。

胴上げされる藤田監督　©Nanae Suzuki

　レ－ス前は、3区終了時点でトップにいることが優勝の最低条件と語っていたが、その狙い通りの展開になった。優勝を確信したのはトップで鈴木に襷(たすき)が渡った時だったという。

　あとは、安心してゴールの瞬間を待っていた。

監督が口にした「準備」

　昨シーズンは出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝と大学駅伝の三冠を達成。今シーズンも1冠目で危なげない好発進を見せた。なぜ、駒澤大はこんなに強いのか。

全員が区間3位以内の順位で走り、危なげないリレーとなった出雲駅伝　©Nanae Suzuki

「駅伝で勝つためには、当日の試合で動くことよりも事前の準備が大事です」

　藤田監督は、そう語る。

「いくら能力があっても、戦力があっても準備ができていないチームは優勝できない。それは選手に常々口うるさくいっています。自分が結果を出すために何日前に治療に行くとか、自分たちで考えて準備していく。監督は、選手がスタートラインに立った時、あとはもうやるだけだねっていう状態を作っていく。今回は、それができました」

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