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川上哲治でも長嶋茂雄でもなく…「巨人史上最多勝利監督」原辰徳の原点は“浪人時代”にあった!「人生経験のページ数が足りない…」
posted2023/10/10 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
おそらく監督・原辰徳を形作る上で最も大事だったのは、2004年から2年間の“浪人生活”だっただろう。
「それまで僕はずっと野球しかない生活だった」
本人はこう語っている。
人生経験のページ数が足りなかった
2002年に長嶋茂雄監督の後を受けて監督に就任。しかしフロントとの軋轢からわずか2シーズンでユニフォームを脱いだ。
「東海大相模(高校)から東海大、そしてジャイアンツに入って選手としてずっとプレーをしてきた。現役を引退した後にちょっとだけ休息の時間があったけど、その後はコーチとしてユニフォームを着て、そのまま長嶋さんの後を継いで監督になった。それまでの僕の人生はずっと野球だったし、野球しかなかった。ただそういうどっぷり野球人なだけではプロ野球の監督、ジャイアンツの監督としては人生経験のページ数が足りなかった」
だから監督を退いたときに、自分にリーダーとして何が足りなかったのかを求め、人生経験のページ数を増やすことに時間を費やした。
指導者にとり、リーダーにとって重要な資質とは何なのか。その資質を得るためにはどういう知識、考え方が必要なのか。野球界だけでなく他のスポーツの監督、指導者に教えを乞うた。スポーツ界だけでなく政財界の第一線で活躍するリーダーに会い、話を聞き、文化芸能に関わる一流の人々からも様々なことを学び、得たものを自分なりに咀嚼した。
巨人史上最多勝利数の原点
そうして2度目の監督になったときのことを原前監督はこう語る。