バレーボールPRESSBACK NUMBER
「日本のバレー、強いよね!」石川祐希が変えた“王国”の価値観…20年前のイタリアでは想像もできなかった「ナカタやハラダと同じ覚悟がある」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/07 11:03
キャプテンとして日本代表を牽引する石川祐希(27歳)
バレーボールの世界はときに非情だ。
昨季セリエAを制したトレンティーノは、優勝監督アンジェロ・ロレンゼッティとの契約を更新せず、MVPを獲ったカジースキが年俸(推定30万ユーロ=約4800万円)アップを要求すると躊躇なくミラノへ放出した。
バレーで飯を食っていくというのは世界最高峰のリーグでも容易なことではなく、生き馬の目を抜くような世界でプレーする選手たちは必然的にシビアかつタフに、シニカルでクレバーになる。
だが、石川は切った張ったのプロの世界で、国籍も言葉も異なる多くの知己を作り、己のバレーの理想を追究しようとしている。石川の真の凄みはそこにある。
ミラノ市内エンリコ・エリア通りにある本拠地「アリアンツ・クラウド」周辺に行けば、地元ファンたちの他愛ないやり取りが聞かれるだろう。
「イシカワすごいよね! 日本のバレー、強いよね!」
世界最高峰リーグの国でこんな言葉を聞けるとは、20年前には想像することすらできなかった。
石川祐希が歩んでいるのは、歴代の日本人バレーボーラーが誰一人知らない地平なのだ。
《次回は、“海外移籍のパイオニア”加藤陽一氏のインタビューをお届けする。近日公開予定》