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ソフトバンク近藤健介に直撃「なぜ身長171cmでホームラン打てる?」への“深すぎる”回答…吉田正尚、森友哉にも当てはまる「天才の共通点」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/29 11:12
「三冠王」の可能性を残すソフトバンク近藤健介(左/171cm)。右は柳田悠岐(188cm)
「2、3年前から長打を求めるようになって、たしかにフォロースルーは以前より大きくなりました。ただ、目指してそうなったというより、打つポイントを投手寄りに変えたことでバットを振り抜きやすくなったから、自然とフォロースルーが大きくなったのだと思います」
さらりと答える近藤だが、一つの疑問が生じる。近藤といえば打率も高いが、出塁率の高さが際立つ。通算で4割超をマークし、今季もリーグで唯一の4割台に乗せている。きわどいコースのボールを見極めるにはどうするか。一般的にいえば、ミートする瞬間、バットをボールに当てるポイントを手元に引きつけた方がいいとされる。真逆の理論を唱える近藤にそれを問うと「それは目つけの仕方を工夫すればいいんですよ。(ポイントが)近ければいいという問題じゃないです」と笑い飛ばされた。浅はかな一般論を天才打者にぶつけてしまったのを思わず恥じた。
「数を意識することはない」
「今年は打球のスピードも上がっていますし、それをコンスタントに出せている。だけど三振が多い。今後の課題です」
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周りは三冠王やホームラン王と騒がしいが、その中で誰よりも無関心なのは近藤本人だ。
「今年はホームランが増えているけど、もともと長打率5割以上という目標を立ててやり始めたこと。強いライナーで二塁打を増やすとか。ホームランを打てるに越したことはないけど、その数を意識することはないです」
今季の近藤の打撃は決して偶発的なものではない。練習で7、8割をホームランにしてしまう打撃も目の当たりにしてしまった。来シーズンはさらに自己記録を塗り替える“近藤の30発”があるのではないか。だとしても何ら不思議ではない。