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「全員がそうではないと知ってほしい」ラグビー山田章仁と結婚、ローラさんが語るメディアの“アスリート妻”幻想「得意でもないのに料理番組に」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by提供:山田ローラさん
posted2023/09/28 17:04
2015年に当時ラグビー日本代表だった山田章仁と結婚し、現在は4児の母でもある山田ローラさん
山田からの告白「……やっぱり彼女でお願いします」
――章仁選手はW杯イングランド大会で主力として多彩な活躍を見せましたが、その背景のひとつにはローラさんのメンタルコーチングがあったのでしょうね。
ローラ 彼はリザーブのリザーブといったポジションで、本来なら試合に出ることは難しかったと思うんです。でも「試しにワンチャン出られるか聞いてみたら?」と言ったら、彼は本当に聞いたみたいで、結局先発メンバーに入れたんですよね。それが効いたのかはわかりませんが、やっぱり言ってみるもんだねって(笑)。ふたりで一緒に作戦を練っていくのが、彼なりに嬉しかったみたいです。
――私生活のパートナーでもあり、メンタルトレーナーでもあり、とさまざまなパートナーシップの強さが感じられます。
ローラ 実は最初に合宿から落とされて戻ってきたときは、まだ彼氏・彼女という関係ではなかったんです。あやふやな状態にしびれを切らせて「私たちってどうなってるの?」と聞いたら、彼は「まだ代表にも選ばれてないし、彼女とかつくれる立場じゃない」と……。そこでカッチーン! ときて「そんなメンタルで代表になんかなれるか!!」と一喝したんです。すぐに「ごめんなさい。やっぱり彼女でお願いします」と訂正されました(笑)。
――確かに人は結果を得るために、何かを犠牲にしなければいけないという思考に陥りがちですよね。
ローラ 代表になれない理由をなにかのせいにするのではなくて、それも含めてメンタルが強くなれば代表になれるのでは、とハッとしたそうですね。なにかを犠牲にしたから代表になれるという思考ではなく、周りが楽しくしてくれるからここまでラグビーを続けてこれたという前向きな気持ちに変わったようです。彼は何も犠牲にせず、人生のすべてを楽しんでいるラガーマンだと思っています(笑)。
「“内助の功”はそれぞれの夫婦の価値観による」
――日本では、アスリートと結婚した女性が“内助の功”で支えることは当然であるかのように語られることも少なくありません。そうした価値観についてどのように感じますか?
ローラ 私の性格上、一歩引いて見守ることができないんですよね。彼は「すべてを捧げてサポートしてほしい」というタイプではないので、いいパートナーとして生活できているのだと思います。もちろん選手の陰となって献身的にサポートしている方は本当に尊敬しますが、妻がバリバリ働いている家庭もありますし、それぞれの夫婦の価値観によるのかなと。
なので、「アスリート妻はすべてを夫のために捧げて支えてあげる」というイメージは一部には当てはまると思いますが、全員がそうではないということもメディアには伝えてほしいですよね。