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「男子バレーはいいが、女子は厳しい」逆境に燃えた主将・古賀紗理那はチームをどう変えた? 五輪切符は持ち越しも「今は一緒に呼吸ができている」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2023/09/25 17:18
ブラジルに惜敗を喫し、パリ五輪出場権は来年に持ち越しとなったバレーボール女子日本代表。キャプテン古賀紗理那は悔しさを滲ませながらも、「希望があった」と振り返った
私たちは強くなった。紛れもない自信を抱いて挑んだ最後の2戦――。
練習を重ねてきたサーブ、速さばかりでなく打点の高さも活かされるようになったスパイク。そしていつの間にこれほど力強くなったのか、と感心をこえて感動すら覚えたブロック。世界トップに君臨するトルコとブラジルという強者相手に一歩も引かず、コートで、ベンチで、14名の選手たちはすべてを出し尽くした。
あと一歩まで何度も迫り、勝利を手の中につかみかけた。だが、それでも及ばない。
20点以降の勝負強さや、打つべきポイントで打つ判断、拾う技術、そして戦術遂行能力も、トルコとブラジルはやはり日本を上回っていた。悔しさも清々しく昇華できるぐらい強かった。
最大のターゲットと課した今大会での出場権獲得はならなかったが、可能性が潰えたわけではない。むしろ来年、自力でつかみ取れるチャンスは残されている。
何より、超えるべき壁の高さも、厚さも、嫌というほど思い知らされた。だからこそ、大切なのはこれから――。
「プレーはとてもよくなっていて、さらによくなるところもたくさんあるんですけど、それ以上に終盤の戦い方。一人一人が心をタフに、全員が『私がここで活躍する』『絶対点を獲ってチームに貢献する』という気持ちと気持ちのつながりが、苦しい状況の時ほど大切だと感じました。次のシーズンは今年よりも苦しい戦いになりますが、そういう時こそ一人一人にならず、チームで助け合う。『私が行く!』という選手がたくさん出てきたらいいな、と思っています」
逆境、困難、上等だ。古賀紗理那は何度でも、這い上がる。
「私、めっちゃタフみたいです」
負けっぱなしで、終われるものか。
◇ ◇ ◇
【2024年パリ五輪出場の条件】
来年のVNL予選ラウンド終了時点の2024年6月17日に確定するFIVB世界ランキングにおいて、すでに出場権を得る7カ国(五輪予選を突破した6カ国と開催国であるフランス)を除く、上位5カ国が出場権を獲得する。
FIVB世界ランキング(2023年9月25日時点)
1位 トルコ 397.46 ★
2位 アメリカ 358.62 ★
3位 ブラジル 352.55 ★
4位 セルビア 350.86 ★
5位 イタリア 338.97
6位 中国 329.65
7位 ポーランド 327.89 ★
8位 ドミニカ 308.86 ★
9位 日本 305.09
10位 オランダ 287.94
11位 カナダ 265.66
12位 ドイツ 228.36
13位 タイ 220.00
14位 ベルギー 199.57
15位 フランス 184.99 ★
※★は五輪出場権を獲得
出場権を持つ7カ国のうち該当しないアジア、アフリカ大陸から最上位の1カ国が優先されるため、日本がそこに選ばれるには現状では6位中国をポイントで上回る必要がある。下回った場合は強豪イタリアのほか、オランダ・カナダ・ドイツ・タイ・ベルギーあたりと残り3つの枠を争う。現在日本は9位だが、ランキング上の国に勝利した場合の獲得ポイントは大きく加算されるため、1試合の結果で順位が入れ替わる可能性があり、VNLではより厳しい戦いが予想される。