- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
「アメイジングボーイは4団体統一王者になる」寺地拳四朗、中谷潤人、那須川天心…欧米でも中継された“日本の軽量級“を英国人記者はどう見た?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2023/09/25 11:04
ヘッキー・ブドラーを倒し、WBA・WBC世界ライトフライ級王者となった寺地拳四朗(31歳)
寺地に関して最も印象的なのは、非常に知的であること。ブドラー戦の序盤は一方的な内容ではありませんでしたが、それでも経験をいかして上手に戦っていました。
技術がしっかりしている上に、左右両方のパンチに標準以上のパワーを備えています。ジャブを始め、様々なパンチが上質で、距離感にも優れているために多彩な攻撃が可能になり、ブドラー戦でも顔面、ボディを満遍なく打ち分けていました。
中でもブドラー戦で鍵となっていたのはボディ打ちとジャブです。寺地のジャブは本当に素晴らしく、彼のボクシングの基調になっています。それに加え、今戦ではボディを効果的に攻めたことがブドラーのスローダウンに繋がりました。
フィニッシュにつながる効果的なボディ
ブドラーは本当に息の長い選手で、その強さはスペインの2階級王者キコ・マルチネスを彷彿とさせます。今回もコンディション自体は万全だったように思え、それゆえに寺地のようにフレッシュな王者に対しても好試合を演じることができたのです。
ただ、35歳という年齢になると、ボディを狙われた場合、ソーラプレクサス、キドニー、リバーにダメージを負うことになります。それを熟知した寺地はまずは相手のボディを打ち、ガードを下げさせた上で顔面にパンチをまとめていきました。フィニッシュの連打は非常に的中率が高かったですね。ボディ攻めがあったからこそ可能になったことであり、その仕留め方は見事だったとしかいいようがありません。寺地の聡明さが分かり易い形で示された勝ち方でした。