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「アメイジングボーイは4団体統一王者になる」寺地拳四朗、中谷潤人、那須川天心…欧米でも中継された“日本の軽量級“を英国人記者はどう見た?
posted2023/09/25 11:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
世界中のボクシングファン、関係者の視線が再び日本に集中した。9月18日、有明アリーナで寺地拳四朗(BMB/31歳)、中谷潤人(M.T/25歳)、那須川天心(帝拳/25歳)をフィーチャーして行われたビッグイベントは欧米でも中継、配信された。軽量級を席巻する3人がそれぞれ勝利を手にした興行は関係者の目にはどう映ったのか。
試合後、リングマガジンの元編集人(マネージング・エディター)であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るうイギリス人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。リングマガジン、スポーティングニュースの両方でパウンド・フォー・パウンド・ランキング(PFP)選定委員を務めるグレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、その言葉には常に説得力がある。
全2回の前編は寺地拳四朗をレビューする(後編では中谷潤人、那須川天心に対する評価を語っている)。
「階級初の4団体統一王者になる」
WBA、WBC世界ライトフライ級タイトル戦
寺地拳四朗 9回TKO ヘッキー・ブドラー(南アフリカ)
今回の豪華な興行の中でも、最も印象的だったのは寺地の強さでした。
ブドラーは非常に経験豊富で、もう10年以上にもわたってトップレベルのボクサーであり続けてきた選手。35歳になった今でも力を残しており、寺地の顔面、ボディにコンビネーションを打ち込んでいた今戦の前半にも健在ぶりは示されていたと思います。ブドラーも被弾は少なくなかったですが、その度に打ち返していました。
ただ、徐々にペースを掴んでいったのはやはり寺地の方でした。ブドラーのタンクはついに空に近づき、9回、寺地は圧巻の連打でフィニッシュに持ち込みました。“アメイジングボーイ(The Amazing Boy=英語での愛称)”は本当に素晴らしいボクサーです。今後、試練もあるでしょうが、私は寺地がライトフライ級史上初の4団体統一王者になると見ています。