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育成から一軍昇格も「悔しい思いの方が大きかった」…苦節5年、DeNA宮城滝太23歳が“初の一軍”を大喜びしなかったワケ
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2023/09/25 11:06
2019年育成ドラフト1位で入団、今年8月に1軍デビューを果たした宮城滝太。これまで、あるベテラン左腕の影響を大きく受けてきたという
「ファーム時代から健二朗さんとは一緒に過ごすことが多かったので心強かったです。準備段階からいろいろ教えてもらったり、『ファームで普通に取れていたアウトが、一軍で取るのは難しくなる。けどファームでやってきたようにどんどん勝負すればいい』と言ってくれて、その言葉はすごく支えになりました」
宮城はここまで9試合に登板し、防御率3.60(9月24日現在、以下同)。まだ登板機会が少ないので評価に至るには早計かもしれないが、特筆すべきは奪三振率で9.00という高アベレージを記録し、さらにリリーフとして重要な指数であるWHIP(1イニングで何人の走者を許したか)で、チームトップクラスの0.93という数字を残していることだろう。
なにも変えずにどんどん来て
プロ初登板は8月13日の巨人戦(東京ドーム)。宮城はビハインドの5回表にマウンドに上がり、2イニングを投げ1安打3三振、無失点と上々のデビューを飾った。捕手はファーム時代によく組んでいた山本祐大だった。
「まず昇格した当日に投げられることってあまりないと思うので、自分は恵まれているなって。すごくうれしかったですね。祐大さんからは『なにも変えずにどんどん来て』と言われて、気持ち的に楽でしたし、とにかく後手に回らないよう必死でした」
ピンチの場面は嫌いじゃない
9月6日の広島戦(マツダスタジアム)では、同点の10回裏にマウンドに上がり、自身の悪送球もありサヨナラ負けのピンチを背負ったが、緊張の場面を乗り切って抑えきった。
「いやもう、あのときは地に足が着いていない感じでしたね(苦笑)。でも、自分はああいう場面の方が好きっていうか気持ちが上がって『ああ今、勝負しているな』って感じるんですよ。嫌いじゃないですね」
宮城はそう言うと、充実感の漂う表情で頷いた。
ファームと一軍の明確な差は?
まだ経験としては浅いが、宮城が感じたファームと一軍の明確な違いは何だろうか。そう問うと宮城はじっくり考えて口を開いた。