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育成から一軍昇格も「悔しい思いの方が大きかった」…苦節5年、DeNA宮城滝太23歳が“初の一軍”を大喜びしなかったワケ
posted2023/09/25 11:06
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Sankei Shimbun
「ここ(一軍)で野球をしなければいけないなって、改めて感じています」
横浜DeNAベイスターズのリリーバーである宮城滝太は、目に力を入れ、実感を込めてそう語った。
5年目で一軍デビュー「長かったですね…」
入団5年目。宮城は3年半の育成契約期間を経て、昨年7月に支配下登録された。晴れて一軍への挑戦権を手に入れたものの、初昇格できたのは今年の8月13日のことだった。
「長かったですね……」
そう言うと、宮城は苦笑した。
2019年に滋賀学園高から育成ドラフト1位で入団した、23歳の若き本格派の右腕。数年前、育成時代に話を訊いたとき「自分の目標は支配下登録ではなく、一軍の戦力になることです」と、語っていたことを思い出した。
「うれしい」より「悔しい」だった、1軍登録
高い意識の持ち主は実際、ようやく一軍から声が掛かったとき、どんな思いが胸に去来したのだろうか。
「正直、うれしいという気持ちより、支配下になって1年間チャンスを掴めなかったので悔しい思いの方が大きかったんです。早く一軍で投げて、自分の力を見せたい、という思いが強かったので」
宮城という投手は、見た目こそソフトで普段は爽やかな笑顔を見せてくれるのだが、いざ野球のこととなると、目に光が宿り好戦的な姿勢が露わになる。プロ向きだな、と感じさせる。
初めて経験している一軍のブルペン。どんな景色が見えているのだろうか。
「自分が一番年下で、わからないことだらけなので、皆さんすごく声を掛けてくれて助かっています。各投手、準備も含め自分のやるべきことをやっているんだって、見ているだけでも意識の違いがすごくわかって、すごくいい経験をさせてもらっています」
田中健二朗からのアドバイス
とくにサポートをしてくれたのはほぼ同じタイミングで一軍に昇格した、16年目のベテラン左腕である田中健二朗だった。