野球のぼせもんBACK NUMBER
優勝本命だったソフトバンク“本当の誤算”…なぜオリックス独走に? 山本由伸から3勝、近藤健介らタレント揃いも…「あの12連敗から始まった」
posted2023/09/22 11:03
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
オリックスが独走した今年のパ・リーグ。
3連覇を果たしたオリックスはたしかに強かったが、今シーズン開幕前はソフトバンクを大本命に推す声の方が多かったように感じる。通称“80億円補強”で戦力をさらに充実させたことが期待を高めたのだろう。
シーズン100勝宣言や、2位に10ゲーム差以上つけてぶっちぎりV。球団内からもそんな勢いのある声が挙がっていた。
それだけにソフトバンクにとって、この秋の現実は、受け入れ難いものに違いない。
補強選手は活躍も…なぜ?
ただ、大補強自体は決して失敗ではなかった。「推定・7年総額50億円」で入団した近藤健介は本塁打と打点ですでにキャリアハイをマークし、打率もリーグ上位。打撃三冠王に輝くのも夢ではない成績を叩き出している。「推定・1年6億5000万円」のロベルト・オスナは防御率1.00(9月21日終了時点)の安定感で守護神の役割を十二分に果たしているし、「推定・3年15億円」の有原航平は出遅れこそしたものの、6月以降は先発ローテに定着して最も信頼のおける柱として活躍を見せた。
そもそも、今年のソフトバンクははじめからCS圏内を争う位置に停滞していたわけではない。
7月6日時点では貯金15をつくり、パ・リーグの首位に立っていたのだ。
潮目が変わったのはその翌日。七夕の夜から連敗地獄がはじまり、奈落の底へ転がり落ちていった。
その戦いの足跡は次のとおりだ。
分岐点は「悪夢の12連敗」
7月7日(対楽天)5-6 9回無死一、三塁の大チャンスも無得点。栗原陵矢が10号、自身3度目の2桁本塁打。有原が今季初黒星。
7月8日(対楽天)1-8 柳田悠岐14号。椎野新が今季初登板で2回1/3を無失点。
7月9日(対楽天)1-5 首位陥落。石川柊太、自責0も痛恨4失点。打線9安打もつながらず。
7月10日(対西武)1-2 3位転落。三森大貴が今季1号も大阪での「鷹の祭典」を飾れず。