オリンピックPRESSBACK NUMBER
「今から私は飛び立ちます」北口榛花が日本人初ダイヤモンドリーグ年間王者に!「いつもステキな笑顔ですね」米国記者の問いに何と答えた?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byTsutomu Kishimoto/PICSPORT
posted2023/09/22 11:04
ダイヤモンドーリーグ「ファイナル」で日本人初の優勝を遂げたやり投げの北口榛花
ここまで培ってきた自信があるのだろう。
ライバル選手たちは思うように記録を伸ばせず、6投目を前に北口の優勝が決まった。
セケラックコーチから再びのアドバイスを受けると、キュッと表情を引き締めて小さく頷き、フィールドに戻る。
手拍子をもらいながら放った6投目は62m76で記録の更新はならなかったが、金メダリストの貫禄を十分に示すものだった。
「本当はもうちょっと投げたかったけれど、シーズン後半で疲れがある中で63m投げられたのは良かったし、しっかりこの場で勝てたことがうれしい」
安堵の表情で北口はそう語った。
9月には自身の日本記録を更新
ブダペスト世界陸上の後も休むことなく転戦した。
多くの選手がブダペスト世界陸上で心身のピークを迎え、その後、ファイナルに向けてもう一度メンタルを作り上げるのに苦労するなか、北口とセケラックコーチは「ファイナルで勝つこと」を目標にコンディションを維持し、気持ちを切らさない努力をしてきた。
「去年はダイヤモンドリーグに絞って転戦したが、今年は小さい大会も含めてシーズンを作り上げてきたので、そこが一つ成長になったと思う」
9月8日のダイヤモンドリーグ・ブリュッセル大会では、7月に出した67m04を上回る67m38の日本記録を出したものの、条件的にはさほど良くなかったと振り返る。
「もっといい条件で投げられれば、68m、69mは行ったんじゃないかと思う。今季はなかなか条件の良い試合に出会えなかった。風が全然吹いていなくて。条件が良ければもっと飛ぶとは思うけれど、自力で投げるには現時点では修正を加えないと厳しい」
ウォームアップ場でもニコニコ
しかし条件に恵まれない試合でもベストに近い投てきで記録を更新できたことは大きな収穫だ。