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ガリガリなジーコ少年が「サイボーグ選手」に…「体がみるみる大きくなり、筋肉も」クラブ世界一へと上り詰めた“肉体改造”とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byMark Leech/Offside-Getty Images
posted2023/09/24 17:01
1981年のジーコ。フットボール王国ブラジルで愛されるスーパースターは、どんなキャリアを描いてきたのか
「アルトゥールが『アルトゥールズィーニョ』(小さいアルトゥール)となり、語尾がなまって『アルトゥールズィーコ』へ変化した。そして、あるとき従妹のエルメリンダという女の子が『ズィーコ』と言い出し、以来、皆がそう呼ぶようになった」
――ブラジルにおけるあなたのフットボールネームはもちろん「ズィーコ」ですが、「ガリーニョ・デ・キンチーノ」(キンチーノ地区の小さな雄鶏)というニックネームも一般的です。
「フラメンゴでデビューしたての頃、私は若くて長髪でよく走った。それを見て、ヴァウジール・アマラウという有名なラジオのアナウンサーがこう呼んだんだ。以来、『ガリーニョ』、『ガロ』(雄鶏)とも呼ばれるようになった」
物心ついた時には、ボールを蹴っていた(笑)。
――「ジーコが特別な才能の持ち主であることにいつ気づいたのか」とエドゥーに聞いたら、「彼が生まれたときだ」と言っていました。
「ハハハ、それはどうかな」
――ボールを蹴り始めたのはいくつのときでしょうか?
「家の中でボールを蹴ったのは、多分、2、3歳頃かな。物心ついた時には、もうボールを蹴っていた(笑)」
――ゼッカはフルミネンセ、エドゥーはアメリカFCのアカデミーに入り、やがてプロになりましたね。あなたも、幼い頃からプロを目指したのですか?
「いや、そういうわけでもない。幼い頃はとにかくフットボールが大好きで、『うまくなりたい』という一心で無我夢中でボールを蹴っていた。14歳でフラメンゴのアカデミーのテストを受けて合格し、練習場などでフラメンゴのスター選手を間近に眺めるようになった。その頃から、『自分もフラメンゴでプロ選手になりたい』と思うようになった」
「ジーコ・プロジェクト」肉体改造の舞台ウラ
――ただし、テクニックと創造性は飛び抜けていたが、小柄で痩せていて、フィジカルコンタクトに弱かった。そこで、17歳のときに「ジーコ・プロジェクト」と呼ばれた肉体改造を始めたのですね?