将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太21歳「点数でという方針に…」“王座戦、生の対局直後姿”を見て思い出した渡辺明九段の「ずいぶんと大きくなりましたよ」
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byKyodo News
posted2023/09/14 17:00
王座戦第2局、後手の藤井聡太七冠は永瀬拓矢王座との長期戦を制して1勝1敗のタイとした
「最後、寄せにいく手順がちょっと分からなくて、点数でという方針に切り替えた」と、彼としては初めてのコメント。相入玉を意識しながら、最終的には駒の数の多さ(大駒5点、小駒1点と換算して、24点に満たないと負けになる)で勝つことも考えたというのだ。
昔、光速の寄せで勝ちまくった谷川浩司十七世名人が、入玉模様となったときに不器用な指し方を見せることで狙われた時期があったが、藤井聡太はその展開も苦にしないことを示した。誰よりも速い脚があり、上がりがかかる展開でも強さに陰りがない。八冠独占がはっきりと見えた大きな1勝だったと思う。
渡辺明九段が「ずいぶんと大きくなりましたよ」と
競馬と、ときどき将棋を書かせてもらっている筆者だが、藤井聡太のタイトル戦はこれまで全てがコロナ禍対応の時期だったこともあって、直に観戦する機会を得たのは今回が初。渡辺明九段が「ずいぶんと大きくなりましたよ」と言っていた通り、テレビで見るよりかなり大柄だった。
そして、見合わないほどの小さな声で話す人でもあった。声が掠れ気味だったのは、激闘の直後だったからかもしれない。