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「ドイツはサッカーのやり方を忘れてしまったのか?」日本戦惨敗、ドイツ“強国のプライド”が崩れ落ちた日「我々にはクオリティがない…」<監督は電撃解任>
posted2023/09/11 17:03
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
dpa/JIJI PRESS
「これまで数多く見てきた中で一番ひどい代表戦だ……」
初老のドイツファンが嘆き節をグラウンドをじっと見つめたままつぶやいていた。誰もその言葉を否定できない。
心のどこかで期待していた一戦
ホームゲームだったはずの試合で、W杯での借りを返すための試合で、ここ最近の不振全てを取り戻すための試合で、ドイツ代表は強豪とはとても言えないパフォーマンスのまま、日本代表に1-4で敗れた。
ドイツが誇るワールドカップ優勝4回、欧州選手権優勝3回という栄光は世界有数のものだ。過去に数多くの国際ビッグトーナメントで好成績を収めてきたドイツに、誰もが畏怖の思いを抱いていた。
でも今の代表チームが優勝したわけでも、特別なパフォーマンスを発揮したわけでもない。その事実に、どれだけの人が本気で向き合っていたのだろう。
日本戦はハンジ・フリック監督にとって、自身の進退をかけたラストチャンスだったし、多くのドイツサッカーファンも、ドイツサッカー協会(DFB)の関係者もそれまでの体たらくに不満たらたらだったけど、心のどこかで「日本とフランスとの連戦で上昇気流に乗るかもしれない」という期待を寄せていた試合だった。
応援不足というなら思いっきり応援してやるよ
フリックは「3月の代表戦は新しい選手を試すため、6月の代表戦はプランBとなる3バックを試すため」としていたので、本気で勝ちにいくと約束した9月シリーズでは流石に違うサッカーをピッチ上で見せてくれるはずだ、と。しっかりと勝って、そこから少しずつ調子を取り戻してくれるはずだ、と。
試合前、ファンは大きな声で応援をした。スタメン発表から、国歌斉唱から、試合開始直後の声援からは力強いエネルギーが感じられた。日本戦前にFWカイ・ハベルツが記者会見で「他国のそれと比べて、僕らは十分なサポートを受けることがなかった」とファンのサポート不足を口にしてしまった一幕があった。そんなことを言われてファンが黙っているはずがない。応援したくないなんてことはない。応援したくなる姿を見せてほしいだけなのだ。