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「ドイツはサッカーのやり方を忘れてしまったのか?」日本戦惨敗、ドイツ“強国のプライド”が崩れ落ちた日「我々にはクオリティがない…」<監督は電撃解任>
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph bydpa/JIJI PRESS
posted2023/09/11 17:03
ピッチに座り込むサネ。翌日、フリック監督は解任。衝撃的敗戦のその日、スタジアムで何が起き、何が語られていたのか
「応援不足というなら思いっきり応援してやるよ。だから結果で返してくれよ」
そんな声が聞こえる。ゴール裏に黒と赤と黄金色による大きなコレオで明確なメッセージも送られた。
その思いは砕かれた。粉々に。
JETZT ERST RECHT
「いまこそ 本当に その時だ」
ニュアンスから日本語に直すとこういうことになるだろうか。
もういいわけはたくさんだ。実験はいらない。きれいごともいらない。本気の姿を見せてくれ。
メッセージに込められたファンからの思い。果たしていまのドイツはそんなファンの思いにこたえられるだけのチームなのか。それが試され、そしてその思いは砕かれた。粉々に。
試合中に日本を褒めだす…
完敗を喫した日本戦後のスタジアムにはかつてないほどのブーイングが起こっていた。記者席近くのファンは試合中からずっと辛辣な、でも的確なコメントを何度も繰り返していた。
「日本の守備ラインがあれだけ高いのに誰も裏へ走りこまない!」
「横パスばかりでまるでスピードが上がる瞬間がない!」
「守備への切り替えは遅いし、対応も間違いだらけ。あらゆるところでフリーの選手がいるじゃないか!」
途中からは日本サッカーへの賛辞に変わっていく。
「(日本のプレス回避を見て)あれだよ! 無理なドリブルしないでダイレクトでシンプルにパスをあてればいいんだ!」
「(伊東や三笘の裏への抜け出しを見て)素晴らしい! スピードの変化をつけて相手の裏に走りこんだ!」
「(ボール奪取後にCFへパスを通したシーンを見て)常にパスをもらえる状況を考えてポジションを取っている。ドイツは後手に回ってばかりじゃないか!」
ドイツはサッカーのやり方を忘れてしまったのか?
挙句の果てに1人のファンが愚痴をこぼしていた。