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ドイツ戦4-1、U-22日本はパレスチナに1-0で危機感…大岩監督「彼らも目が覚めると思う」“A代表経由パリ五輪行き”へ奮い立てるか
posted2023/09/10 17:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kyodo News
今日は勝利がすべてですね――。試合後の記者会見で大岩剛監督が真っ先に述べた言葉が、試合内容を表していた。
パリ五輪アジア1次予選を兼ねたU23アジアカップ予選で、U-22日本代表はパレスチナを1-0で下し、パキスタン戦に続き2連勝を飾った。
藤尾のゴールは鮮やかな崩しだった
23分に藤尾翔太(FC町田ゼルビア)が陥れたゴールは、素晴らしいのひと言に尽きる。
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ディフェンスラインから右センターバックの高井幸大(川崎フロンターレ)が縦パスを打ち込むと、ライン間で受けた山本理仁(シント・トロイデン)がターンし、すぐさまスルーパスを流し込む。ニアゾーンへ抜け出した右ウイングの小田裕太郎(ハート・オブ・ミドロシアン)が中を確認してマイナスのクロスを送り、藤尾がダイレクトで右足を振り抜いた。
「ポケットを取るっていう共通認識があって、そこに走れて、それを形にできた」
先制点をお膳立てした小田がこう振り返れば、殊勲の藤尾も胸を張る。
「前に行くふりをしたら相手が引っかかってくれたので、止まるだけでフリーになれた。ボールが速かったので、当てるだけで入るかなと思って、そのまま合わせに行った感じ」
チームの狙いを体現した鮮やかな崩し――。
だが、乱暴な言い方をすれば、唯一の見せ場でもあった。
少なかった決定機と「ちょっとした誤算」
それ以外の決定機は、山本の右コーナーキックを木村誠二(FC東京)が頭で捉えたものの、相手GKのセーブに遭った前半終了間際のシーン、藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)の強烈ミドルが相手GKを強襲した77分の場面くらいのもの。
チャンスメイクやゲームコントロールを託されたインサイドハーフの山本が悔やむ。
「相手がブロックを敷いてきて、カウンターを狙われる場面があった。それを警戒してセンターバックが縦パスを躊躇するところもあって、横パスやバックパスが増えると、相手がプッシュアップしてきてハメられる形もあった。もう少し恐れずに、というところと、サイドレーンを上手く使って相手を広げて、その中で間を取ることができていれば。僕と(鈴木)唯人の関係を作れれば、チャンスは生まれたはずなので、次はもう少しそういう場面を増やしたいと思う」