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日本女子陸上界「最古の日本記録」を破るには…走高跳日本王者・高橋渚23歳が語る“自分の伸び代”「モデル体型→混成競技のフィジカルに」
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byAFLO/Takuya Sugiyama
posted2023/09/13 11:02
“フェアリージャンパー”こと高橋渚選手。女子走高跳の日本記録は2001年に今井美希が記録した1m96cmのままだ
現在の高橋が主に師事するのが、2006年の日本選手権女子三段跳で4位入賞経験のある飛田奈緒美コーチだ。高校時代に高橋を指導していた前男子走高跳日本記録保持者の醍醐直幸の妻でもあり、高校時代以来、家族ぐるみでの指導が続いている。
メディア等で「モデル体型」と話題に上がることも多い高橋の長い手足や173cmの長身についても飛田コーチはこう語る。
「これでもだいぶ筋肉つけてしっかりした方なんですよ。海外勢と戦おうと思ったら、走高跳で173cmの身長って全然、小さいんです。身長が190cmあれば“モデル体型”でもいいかもしれませんけど、高橋の身長で戦おうと思うなら七種競技の選手のようなフィジカルが必要。いまはそこも鍛えている途中です。短期的には細くして、体重も軽くした方が記録は出るのかもしれません。でも、それでは上限がすぐ来てしまう。先を見据えてトレーニングをすることが重要だと思います」
来年のパリ五輪、再来年の東京世界陸上のために
いま、高橋が最大の目標に据えるのは2025年に東京で開催される世界陸上だ。
ちなみに先日行われたブダペスト世界陸上と来年のパリ五輪の参加標準記録は日本記録を越える1m97cmに設定されている。
「標準記録は相当ハイレベルに設定されていることもあって、それ以外にも世界ランキングでの出場も可能なんです。ブダペスト世陸は1m80cm台の持ち記録でも複数の大会で記録をそろえて出ている選手もいたので、自分でも全く可能性がないわけではなかった。そういう事情もあって今年は初めて単身で国外の大会にも出場しましたが、国内だけじゃなく世界の大会でもっと経験を積まないといけないということはすごく感じました。
例えばいまの私にとって1m90cmってすごい高く感じるんです。自信をもって跳べると言える高さの1m88cmと比べたらほんの2cmの差しかないのに、心理的な『壁』を作ってしまう。その『壁』は試合で数を挑戦して行かないと消せないと思うんです。練習でいくら跳んでもやっぱり違うので。でも国内だとなかなかその高さまで勝負が続いていること自体がない。じゃあ高いレベルで競っていくには海外の大会に出ていくしかないんだなと」