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日本女子陸上界「最古の日本記録」を破るには…走高跳日本王者・高橋渚23歳が語る“自分の伸び代”「モデル体型→混成競技のフィジカルに」 

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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photograph byAFLO/Takuya Sugiyama

posted2023/09/13 11:02

日本女子陸上界「最古の日本記録」を破るには…走高跳日本王者・高橋渚23歳が語る“自分の伸び代”「モデル体型→混成競技のフィジカルに」<Number Web> photograph by AFLO/Takuya Sugiyama

“フェアリージャンパー”こと高橋渚選手。女子走高跳の日本記録は2001年に今井美希が記録した1m96cmのままだ 

まぐれの「一発」が存在しない走高跳の難しさ

 高橋曰く、走高跳という競技の難しさのひとつは「一発」がないことだという。

「走高跳って高さが分かった上で挑戦するじゃないですか。投擲競技とか、他の跳躍競技だと何かの拍子で一発ハマればスゴイ記録が出ることがある。でも走高跳の場合はたとえ1m80cmの高さでとんでもなく良い跳躍ができたからといって、次の1m83cmでできなかったら意味ないわけです。そういう意味では他の競技よりも“再現性”がとても大事になってくる。それは競技の魅力でもあり、難しい部分でもあると思います」

 その日、その日の調子どころか、1本の跳躍ごとに調子のゆらぎがあるのだという。だからこそ、自分の感覚と跳べる高さを一致させていくことが重要なのだそうだ。

「会場によっても、季節によっても踏切の感じは全然違う。そのそれぞれに合わせなければいけない。だからこそ1本、1本への集中力が問われると思うし、そういう選手たちの表情なんかは見る側も魅力的に見えるんじゃないかと思います。それは走高跳という競技の面白さでもありますね」

 高橋の最大の課題であり、走高跳という競技の最大のポイントは「踏切」なのだという。

 どんなにフィジカルが上がっても、それを踏切のタイミングで爆発させられるかどうかで記録が大きく変わるからだ。

「大事なのは自分の身体を意識的に動かせるかどうか。踏切の時につま先から指先まで体がちゃんとコントロールできて、その上で跳べることが大事だと思います。そこを意識しないで『たまたま跳べちゃった』とかだと、やっぱりその先に繋がらない。むしろ『跳べちゃった』だけの記録だと逆にそれが枷になったりするので、『このくらいの記録を出したい』と思ったうえで、結果的にちゃんとその記録を跳ぶ……を繰り返していくのが一番いいのかなと思います。

 いまはトレーニングでフィジカルが上がって、ようやく助走スピードが上がって来るようにはなりました。そのスピードと踏切の技術がまだ噛み合ってないので、そこが合えば記録にもつながって来ると思います」

【次ページ】 来年のパリ五輪、再来年の東京世界陸上のために

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