進取の将棋BACK NUMBER
八冠挑戦の藤井聡太21歳が「たびたび苦境に陥っている」 王座経験者・中村太地35歳が解説「藤井七冠は、ここで運命の二択に立たされていた」
text by
中村太地Taichi Nakamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/09/12 06:00
王座戦第1局、対局後の藤井聡太七冠
王座戦で挑戦権を得るまでにも準々決勝の村田顕弘六段戦、挑戦者決定戦の豊島将之九段戦で厳しい戦いを強いられました。村田六段との対局では「評価値6%→94%」の大逆転勝利が話題となりましたが、かなりの苦境に陥ったのは事実。さらに豊島九段戦も二転三転しながら最後の最後で勝利をもぎ取るという形でした。
それぞれの棋士もまた、進化している証拠
ペースを握りかけたとしても、そこからの指し回しがとても難しい。藤井七冠の視点に立つと、そういった将棋を迎えることが多くなっているのかもしれません。それは対局相手の研究が進み、それぞれの棋士もまた進化している証拠と言えるのでしょう。
とはいえ本局は藤井七冠だけでなく、後手番の永瀬王座から見ても大変複雑な局面で、この2人をもってして“評価値があまり当てにならない将棋”だったなと感じます。その辺り、棋士が盤面に向かう心境についても説明していければと。
<第2回に続く>