水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
三笘薫26歳“ほぼ5人抜きゴール”に4つの超進化「まるで陸上の短距離走」「ここで相手は詰んだ」なぜ“この形ならイケる”と感じるのか
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/09/09 11:01
ブライトンでスーパーゴールを叩き込んだ三笘薫。ドイツ、トルコと相まみえる日本代表9月シリーズでも驚愕のゴールが見たい
なお手前のFWウェルベック、右サイドのマーチが三笘の動きをよく観察している様子もチーム内での信頼の高さを感じました。
〈三笘のスゴい進化2〉“奥行き”を確認できる視野
相手DF4人に囲まれた三笘が選択したのは「インサイドに切り込む」でした。おそらく、次の次のプレーまで見据えている三笘は“奥行き”を確認したのだと思います(場面2)。加えて前述したウェルベックとマーチが敢えて動き出さずに、止まっている。
それによって中央に大きなスペースが生まれており、そこを三笘は察知して狙いを定めたように感じます。感覚的な部分もあるかと思いますが、もしかしたらもっと深くまで考えてプレーしているかもしれない。三笘の頭の中をのぞいてみたいです。
〈三笘のスゴい進化3〉筋力アップで出力も向上
スペースを確認した三笘は、一気にギアを入れます。ゴールまでの道筋がイメージできているからプレーに迷いがない。驚かされたのは相手DF(セメド)に掴まれながらも、絶妙なボールタッチとスピードで“グン”と前に出た(場面3)。ここの「出力」は確実に向上しているように感じますね。
それは姿勢の良さも影響していると思います。改めて映像を見返しても、まるで陸上200m走の選手がゴールに突入していくような美しいフォームです。フィジカルの向上もプレーにしっかり生かされています。
〈三笘のスゴい進化4〉余裕を持ったシュート意識
相手DFからすれば、三笘クラスの選手にここまでスペースを与えたら、ほぼ“詰んでいる”状態です。三笘自身も相手が何もできないことをわかっているので、テンポよくかわしてゴールに余裕を持って向かっています(場面4)。
さらにGKとしてはこのスピードで仕掛けられたら基本はノーチャンスに近い。しかも、三笘はプレー直前でパスやドリブルなど別の選択肢に切り替えられる選手なので、相手としては判断が難しかったと思います。一方で三笘から見ると、ゴール数は今季の課題でもあったので、自信になったのではないでしょうか。
ざっと振り返ってみましたが、4人に囲まれた状態からドリブルを始めた時点で、もう得点の匂いがしていました。