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<独占告白>リーチマイケル(34歳)が4度目のW杯前に明かした衝撃の真実「レッドは絶対ダメ」「2019年W杯から体はボロボロでした」
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAsami Enomoto
posted2023/09/07 17:01
4度目のW杯に臨むリーチマイケル。大会前にNumberのインタビューに応じてくれた
「高くタックルに行ったら基本的にレッドカード。これは理解しないといけない。意識的に低く行こうとして、アクシデントで高く当たってしまったと判断されれば、相手の頭に当たってもイエローに軽減されることもある。W杯ではレッドで出場停止になったらもう試合に出られなくなるし、代わりの選手も呼べない。絶対ダメ」
激しいタックルはリーチの最大の武器だ。2015年W杯までHCとして日本代表を率いたエディー・ジョーンズは、リーチをキャプテンに指名した理由を「自分がカードをもらった直後でも、躊躇せずに激しいタックルに行けること」と話していた。謙虚でありながら実戦ではリミッターを外せる。いわば獣性を解放していけるのがリーチだが、今度はその武器たるタックルをすべて、あくまで低く、相手の下半身めがけてぶつけるというのだ。
ターゲットは相手のおへそあたり? と聞くと、間髪入れずに答えが返ってきた。
「膝下」
――ダブルタックルだとボールを殺しに行きたくなりそうだけど、関係なく?
「はい。膝下」
相手のすねに突き刺さる――かつて、日本と対戦した多くのトップ国の選手たちが顔をしかめて称賛した日本の小柄なタックラーの武器を、189cm・113kg、ニュージーランド生まれの闘将が振るうのだ。
押しも押されもしない、日本代表の大黒柱。国内だけでなく世界からも高く評価されているリーチだが、前回W杯からの4年間は、平坦な道のりではなかった。
「そもそも、'19年のW杯のときから体はボロボロでした」
'19年、日本代表が始動した春先から股関節の炎症を患い、春から夏にかけて行われたウルフパック名での強化試合、サンウルブズでのスーパーラグビーはすべて欠場し、7月、テストマッチ初戦となった釜石でのフィジー戦もベンチスタート。W杯本番が始まっても、初戦のロシア戦でミスを重ね、2戦目のアイルランド戦は先発から外れた。
「悔しさよりも申し訳ない気持ちでした。キャプテンなのに試合に出られない、いいパフォーマンスができていない。チームにもジェイミーにも申し訳ない気持ちでした。その分、試合に出たらやってやろう、という気持ちは強かった」
2019年W杯「体調は60%くらいでした」
結果的に、その用兵はリーチを奮い立たせ、プラスに作用した。アイルランド戦は肋軟骨を痛めたアマナキ・レレイ・マフィに替わって前半30分から出場するや、鬼神のごときタックル、ボールキャリーを反復。開幕時点で世界ランク1位だった強敵を撃破する原動力になり、日本代表をプール4戦全勝、1位通過による史上初のW杯8強進出に導いた。
だがリーチ本人は「体調は60%くらいでした」と振り返る。W杯では主将としての責任感で体を張り、チームを率い続けたが、自分のフルパフォーマンスにはほど遠かった。
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