甲子園の風BACK NUMBER
大谷翔平も菊池雄星も佐々木麟太郎も育った“ナゾの高校野球の町”「JR花巻駅」には何がある?「“消えた”レアな鉄道、閉店した百貨店…」
posted2023/09/03 11:00
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
JIJI PRESS
いま、野球界の熱源地というと、花巻なのではないかと思う。花巻とは、いわずと知れたあの花巻東高校のある町だ。花巻東高校からは、大谷翔平・菊池雄星という2人のメジャーリーガーが出ている。そして今夏も、佐々木麟太郎というニューヒーローを擁し、甲子園ベスト8まで進んだ。
大阪や東京、神奈川のように多数の強豪高校がひしめくような地域ではなく、岩手県という地方大会参加校数の多くないところから次々に輩出されるスーパースターたち。ちなみに今夏の岩手県大会参加校は、56チームだった(なお最多の愛知県大会は173チーム、神奈川大会167チーム、大阪大会159チーム……と続く)。
花巻東高校の何がスゴいのか、ということは高校野球の専門の方にお任せしたい。気になっているのは、スーパースターたちを生んだ花巻東高校のある花巻ってどこ? そしてどんな町? という単純な好奇心のお話である。
「JR花巻駅」には何がある?
というわけで、JR花巻駅にやってきた。花巻東高校のある花巻市は、岩手県のちょうど真ん中辺りにある町だ。東北新幹線も花巻市内を通っており、新花巻という駅がある。が、新花巻駅は花巻の市街地から少し離れていて、さらに通過する列車も多いから、玄関口として利用するにはやや不便だ。むしろ、「はやぶさ」に乗って盛岡駅で降りて、在来線の東北本線でちょっと戻って花巻駅を目指す方がよい。盛岡駅から花巻駅までは、ざっと30分である。
新幹線以前からの町の玄関口だけあって、花巻駅の前には大きな駅前広場が設えられている。傍らにはホテルも建つ。そして、大きなスポーツ用品店。おお、さすがメジャーリーガーを生んだ町。ならば、どこかに菊池選手や大谷選手の碑や横断幕のようなものがあるに違いない……。
宮沢賢治の生家(跡地)があった
……と思って駅前をうろうろしてみたが、そうした類いのものは見つからなかった。