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「2024年にはUFCフライ級王座を獲ります」 沖縄出身ファイター・平良達郎の快進撃「井上(尚弥)さんは雲の上の存在で…」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byGetty Images
posted2023/09/03 11:05
快進撃を続ける沖縄出身ファイター・平良達郎
観客席で見た井上尚弥の試合
北米拠点のUFCと契約して以来、試合は海外ばかり。ゆえに平良は海外で活躍し、評価の高い日本人アスリートに尊敬の眼差しを送る。
「僕は結構時差ボケで眠れなかったりするんですけど、そういうときになるとお父さんが『大谷翔平だったら……』と言ってくれる。大谷選手は長時間睡眠をとるみたいですね」
7月25日、井上尚弥がスティーブン・フルトンをTKOで撃破し、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王座を獲得。4階級制覇を成し遂げたときは観客席にいた。平良を知る井上のマネージャーがチケットを用意してくれたという。初めてのボクシングのライブ観戦だった。
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「井上さんは雲の上の存在で、『自分もこうなりたい』と思わせるものを持っている。だって対戦相手をまるでサンドバッグみたいに叩いていたじゃないですか。相手が入ってきたとき、あるいは自分が当てて戻るときのバックステップにはMMAとは違う速さを感じました。会場を出る頃には自分もボクシングが強くなったような気もしました。翌日練習したらいつも通りでしたけど(笑)」
「今回は打撃で仕留めたい」
来る10月14日(現地時間)には米国ラスベガスでダビッド・ドボジャーク(チェコ)と対戦する。以前はチェスのプレーヤーだったという異色の経歴の持ち主だ。
「試合が決定した時点でダビッドはフライ級のランカーだった。いまはランキングから抜けてしまったけど、とにかく試合をしたかったのでありがたい。できれば、今回はストライキング(打撃)で仕留めたい」
ダビッドを撃破すれば、ランキング入りは確実視されている。
「そうなれば、あと数戦でタイトルマッチまで行ける。『もう次の挑戦者は平良でいいんじゃないの?』というムードを作りたい。2024年にはUFCフライ級王座を獲ります。自分ならできると信じています」
沖縄発世界へ。23歳のウチナーンチュはあの堀口でもなし得なかった日本人選手として初のUFC王者になれるのか。
沖縄ではいまも絶対的な知名度を持つ具志堅用高を越えてゆけ。
平良達郎Tatsuro Taira
2000年1月27日、沖縄県生まれ。15歳でTheパラエストラ沖縄入門。'18年に修斗プロデビュー。'21年に世界フライ級王者。'22年からUFC参戦後4連勝。MMA14戦14勝。170cm。