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「ぶっ飛ばされんじゃないか」アントニオ小猪木が“本物の猪木”に会った日…本人の前でネタ披露も「モノマネやってよ」「今やったんですけど…」
posted2023/08/07 17:22
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「燃える闘魂・アントニオ猪木展」が東京・新宿の京王百貨店で8月15日まで開催されている。猪木のモノマネで知られるアントニオ小猪木も、力道山夫人・田中敬子さんや藤波辰爾らとともにそのオープニングセレモニーに姿を見せていた。
「小猪木」はなぜアントニオ猪木に憧れたのか?
「最初にアントニオ猪木を知ったのは1980年のウィリー・ウィリアムス戦なんですが、それが映画だったのか、テレビのリアルタイムだったのか、記憶があいまいなんです。プロレスだと同年の第3回MSGシリーズ。外国人レスラーはスタン・ハンセン、ダスティ・ローデス、アンドレ・ザ・ジャイアント、ボブ・バックランドらが参戦していました」
小猪木は紅茶を飲みながら、猪木について語り始めた。カップを口に運ぶ仕草も猪木にそっくりだ。
「子ども心に『この人、格好いい』と思った。純粋に格好いい。それだけでした。兄がプロレス好きだったので家にプロレス雑誌があった。その雑誌を通じて、後追いで猪木がモハメド・アリとやっていたことを知ったんです。そこから『ああ、ミル・マスカラスともやってる。ドリー・ファンク・ジュニアともやってる』って」
猪木という言葉を口にすると、小猪木のトーンは上がる。
「猪木さんとアリの色気にハマった。普通は異性に対して出てくる言葉なんでしょうけど、やっぱり猪木さんの色気ですね。佐山(聡)さんのタイガーマスクの、2センチくらい出ている後ろ髪にも色気を感じましたね」
小猪木は少年時代のエピソードを明かした。
「小学生の頃、『猪木に似ている』って言われたことは一度もないです。でも猪木になり切っていた。『オマエ、本当に猪木が好きなんだなあ』とは言われていました(笑)。学校でプロレスがブームになっていて、家でも兄とプロレス技をやっていました」
子供の頃、小猪木の歯はいわゆる下アゴが出た“受け口”だったが、それは矯正で直した。それなのに、わざわざ下アゴを出して猪木の真似をしているのだから不思議だ。