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リオ五輪金“タカマツ”が歩むそれぞれの道…母になった高橋礼華に聞いた、“元相棒・松友と夫の混合ダブルス”をどう思う?
posted2022/08/28 11:02
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
L:JMPA R:Ayaka Kaneko
3年前までは、彼女もこの舞台に立っていた。“相棒”とともに――。
今年、日本で初めて開催されたバドミントンの世界選手権。
2016年リオ五輪で1つ年下の松友美佐紀(30歳)とともに、日本バドミントン界史上初の金メダルに輝いた高橋礼華(32歳)は、近年の女子ダブルス界の変化をこう実感している。
「リオ五輪が終わってから、自分たちが目標にしていた中国ペアが引退して中国のプレースタイルも変わりましたし、本当に変化だらけ。私たちの頃は“こんなことするの?”という意外性やテクニックで勝負するペアが多かったのですが、日本もそうですが、今、女子ダブルス界は全体的にスピードやパワー、粘りで勝負する選手が多いですね」
過去に何度も出場してきた高橋は「苦い思い出ばかりしかない」と、世界選手権でのメダル獲得の難しさをいやというほど痛感している。当時の“タカマツ”は世界ランキング1位。リオ五輪前年の同大会では、自身初金メダル獲得を目指していたものの、マレーシアのペアに敗れてまさかの早期敗退を喫した。
「初めて出場した時もそうでしたけど、世界ランキング上位になってから出た大会も序盤で敗れてしまって。でも、あの敗戦がなければ、きっと自分たちはリオ五輪で金メダルを獲ることはできていなかったんじゃないかな。敗れはしましたけど、意味のある敗戦だったと思います」
かつての相棒と夫がペアを組んでいる
あれから6年。高橋はコートに別れを告げ、リオで快挙を達成したかつての相方は次の舞台へ向かった。松友の新しい相棒は、高橋の夫・金子祐樹(28歳)だ。
金子・松友組は今回の世界選手権では2回戦でシンガポールのペアにフルゲームの末に敗れたが、2024年パリ五輪を見据えて日々奮闘している。
実は高橋が引退を決断した頃、松友はすでに後輩の金子と組み、「ミックスで頑張りたい。やれるところまでやってみたい」と新たな目標に向かって歩み始めていた。2人は同じチームに所属していたこともあり、周囲にとっては特別なことではなかっただろうが、高橋の夫である金子が、高橋のかつての相棒とペアを組むのだから、縁とは不思議なものだ。